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2019年02月07日号

1;短納期特需は事前協議を~生コン

全国的に大型物件(特需)の工期が厳しくなっている。短納期の特需は、生コンの製造・運搬だけでなく、骨材業者も生産、輸送力を確保することが求められる。特に生コンの輸送は、傭車の取り合いなどによって特需のある地域の周辺にも波及して、近年の運転手不足に拍車をかける要因になっている。また、骨材の生産、物流網も長年にわたる需要低迷で供給力が細っており、瞬発力が低下している。今後は短納期の特需に対応できない事態も予想される。これから短納期の特需を受ける生コン会社、協同組合では、ゼネコンに事前協議を求めるなどの対応が必要になりそうだ。
大型特需として現在、リニアや北海道、北陸の整備新幹線といったインフラ関係のほか、民需では首都圏の五輪需要、都市部の再開発が全国で進められている。最近は輸送力の確保や資材の調達が困難になるケースが散見されるようになってきた。
岩手・北上では、約9か月で約12万5千m3の生コン納入が求められる特需が進行中だ。その数量は岩手県南生コン協組(奥州市)の花北ブロック(北上市、花巻市)の3工場の1年分以上に相当する。同ブロックの昨年4~11月の出荷量は前年同期に比べ2・5倍の11万7千m3となった。需要の急増を受けて、地元だけでは骨材をまかないきれず、生コン工場は太平洋沿岸部に供給されている海送骨材の使用を余儀なくされ、価格も通常より高くなった。また、輸送の逼迫によって、特需以外の一般物件用の骨材価格も上昇した。
骨材業者は大型特需に対する姿勢が変わってきた。かつては計画が浮上した段階で設備投資を行う業者が多かったが、今は特需を目前にしても設備投資には及び腰。さらに短納期の特需対応となると、設備投資費を回収する期間がなく、ハードルはかなり高い。物流に関しては、担い手の高齢化が進んでいるため、特需があっても更新するケースはほとんどない。
短納期特需による影響を薄めるうえで、参考になりそうなのがLNG工事だ。LNGは夜間も生コンを打設するため、ゼネコンも数か月前から協組や販売店、生コン会社と事前に協議することが多い。実際の打設まで期間が空くため、生コン協組や会社では、近隣だけでなく遠方にもコンクリートミキサ車の派遣を要請できる。
工程が不安定化
近年は都市部でも輸送力不足が顕在化している。建築の杭工事など生コンを切れ目なく納入しなければいけない工事では、ミキサ車をできるだけ多く確保しておくことが求められる。しかし、こういった工事で、生コン協組とゼネコンが数か月前から事前協議を行うのは極めて稀だ。
生コン協組は大型物件を受注した建設業者に対し、早期に工程表を提出するよう求めているが、昨今は用地買収の遅れや供用期間の前倒し、鉄筋工や型枠工などの職人不足などによって、工程が不安定化するケースが目立つ。短納期の大型物件については、安定供給のため、生コン協組や会社から、ゼネコンや販売店と事前に協議していく必要がありそうだ。