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2017年10月12日号

1;需要偏在が深刻化~関東一区の生コン

関東一区の生コン市場では、地域間の需要偏在が深刻化している。五輪施設工事などがけん引する形で東京都心の需要が膨らむ一方で、多摩などその辺縁部は不振を極める。需要の柱であるマンション工事が、一部の地域を除き低調なまま。着工遅れ、工期長期化が依然として需要を下押す要因になっており、鉄骨やプレキャストコンクリートといった競合相手の台頭も響く。
今年度の上期(4~9月)の1都3県に展開する主要10生コン協同組合の出荷は、東京地区、神奈川、埼玉中央、千葉中央の4協組で前年実績を上回った。
実質は東京地区の「一強状態」だ。
東京地区は過去最低を更新した昨年度から一転、右肩上がりで推移している。五輪施設工事に加え、大型再開発工事向けの出荷が相次いで本格化しており、出荷水準は過去5年の平均値を上回っている。
神奈川は、前年実績は上回ったが、想定との比較では約6万5千m3の下振れ。大型再開発など出荷を見込んでいた工事が後ずれしている。埼玉中央は一見堅調だが、これには2月の新規加入会社(1社3工場)の上積み分が含まれている。千葉中央は昨年度に過去最低を更新した反動増が主因で、荷動きが活発化してきたわけではない。
前年実績を下回った6協組のうち、深刻な出荷減に直面しているのが都心辺縁部を事業エリアとする東関東、玉川、三多摩。千葉北部は着工遅れなどにより2ケタ減に沈み、千葉西部も第2四半期に入り失速感が顕在化している。湘南も一時の低迷を脱したとはいえ、着工遅れもあって荷動きは緩慢だ。
東京地区は下期も堅調需要が続き、通期では320万~330万m3と前年実績から最大で50万m3増える見込み。9月末契約残が約180万m3に上る神奈川も下期から増加ピッチが上がりそう。一方、東関東、玉川、三多摩の今年度は軒並み過去最低の更新が確実だ。下期に回復を期待する向きもあるが、需要に影響を与える「変数」が多く、先を読むのは難しい情勢となっている。