1;JASS5改定 35度超対策を明記~日本建築学会
日本建築学会は22日、建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事を改定した。2009年以来、6年ぶりで今回は小改定。前回改定以降に改正されたコンクリート関連JISや同学会発刊の指針類を反映したほか、環境配慮や新技術・新材料に関する解説の充実を図った。また、暑中コンクリートに関しては適用期間に関する追記・修正のほか、荷卸し時のコンクリート温度が35度を超える場合の具体的な対策を記述したほか、マスコンクリートの節では構造体強度補正値(S値)の見直しを行った。
暑中コンクリートは解説が大幅に追記された。昨年の全国大会で実施したパネルディスカッションや近年の研究成果などを取り込み、解説に荷卸し時のコンクリート温度が35度を超える場合の対策を明記した。コンクリートの施工性を確保する対策として、「従来よりも高い機能を有するAE減水剤、高性能AE減水剤標準形または遅延形の使用」と「練混ぜから打込み終了までの時間の短縮、打ち重ね時間間隔の短縮」を挙げた。構造体コンクリートの品質確保対策としては「低発熱型セメント、フライアッシュなどの混和材の使用」と「散水・噴霧養生の採用や養生期間の延長」を挙げ、これらの適切な対策を講じた場合であれば荷卸し時のコンクリート温度38度程度を上限に極端な性能低下は生じないと明記した。
マスコンクリートの節では、拡充されたデータを取り込んで単位セメント量の低減を目的にS値の見直しを行った。高炉セメントB種及びフライアッシュB種は暑中期間を除いて3N/mm2に低減、中庸熱セメントは通年で3N/mm2、低熱セメントは通年で強度補正なしに改めた。寒冷期では初期の高温履歴で強度発現が速やかに進むこと、マスコンクリートは部材が厚くて水分の逸散が少なく乾燥が緩慢に進むため長期強度の増進に必要な水分が確保されていることなどをS値変更の技術的根拠としている。
環境配慮に関しては、解説にコンクリート構造物の環境マネージメント規格であるISO13315の概要を記載し、鉄筋コンクリート造建築物の設計・施工において、環境負荷の発生が可能な限り低減できる使用材料の選定、コンクリートの調合・製造・施工方法の選定などを行うことが望ましいと明記した。
4節コンクリート材料ではJISA5308などのコンクリート関連規格について最新版に合わせて解説を拡充した。混和材料では新材料として高炉スラグ微粉末の比表面積3000グレードや収縮低減タイプ及び増粘剤一液タイプの混和剤などに関する解説を追記した。
5節調合では、2月に発刊したコンクリートの調合設計指針・同解説の内容を反映して単位水量及び単位粗骨材かさ容積の標準値を修正した。
6節のコンクリートの発注・製造および受入では、レディーミクストコンクリート工場の選定で、全国生コンクリート品質管理監査会議が認定するマルテキマークについて「工場選定に際して参考にすると良い」から「これらの工場から選定することが望ましい」に記述が変更された。