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2014年09月04日号

1;需要の回復に遅れ~生コン・セメント

生コン、セメント需要の回復が遅れている。8月28日に全国生コンクリート工業組合連合会、セメント協会が発表した7月の出荷量はともに前年実績を下回った。8月は当初、前年並みに回復するとの見方もあったが、天候不順や依然として続く工事遅れで減少は避けられないもよう。都市部の民間開発、地方の公共事業とも一定の工事量が見込まれており、下期以降に回復するとの見方が一般的。足元の減少幅も小さくなっているが、人手不足などボトルネックが引き続き障害となり、需要回復はさらに遅れる可能性もある。

全生連がまとめた7月の出荷実績は、前年同月に比べ3・4%減の834万2千m3で、3か月連続の減少だった(非組合員は推定)。このうち、官公需向けが1・7%減の357万6千m3、民需向けが4・6%減の476万6千m3だった。減少の要因について全生連では「台風11号、12号、広島市豪雨などをはじめとする大雨の影響」、「関東だけでなく地方でも技術者不足が広がっている」を理由に挙げる。46生コン工組を対象とした今後の需要動向の見通しについて、「やや減少」、「減少」と回答する工組が先月に比べ4工組増加しており、今後の出荷見通しは不透明になりつつある。

都市部の出荷が減退している。4~7月出荷で減少だったのは23都県。東北の宮城県、関東一区の東京都、神奈川県、千葉県、東海の愛知県、静岡県、中国の広島県、九州の福岡県など大都市を抱えるエリアは軒並みマイナスだった。関東一区は圏央道工事が進む埼玉県を除き前年割れ。ただ、東京など減少幅は縮小している。東海は岐阜県を除き減少している。愛知県は名古屋地区の需給がひっ迫し、需要増に応えられないことや新東名高速工事の遅れがある。名古屋生コンクリート協同組合の8月出荷の速報値は前年同月比3・9%増の19万1千m3となったが、年度当初の見込みに比べると4・5%マイナスだった。福岡県は九州北部豪雨の災害復旧が終わり、反動減となっているほか、福岡市内の民間工事遅れが影響した。

減少に歯止めがかからないのが北陸。4県すべてで減少した。北陸新幹線工事が終わった反動もあり、2ケタ減となった。