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2019年04月04日号

1;集約ガイドを刊行~全国生コン連合会

全国生コンクリート工業組合連合会、同協同組合連合会はこのほど、集約化ガイドブックを刊行し、傘下の生コン工業組合や協同組合に配布した。全生連が集約化ガイドブックを刊行するのは8回目。「集約化は必要」との回答は全体の74%に上り、過剰設備の是正に向けた検討が急務になっている。
ガイドブックの制作に向けて、全生連では2017年度に共同事業委員会の下に集約化部会を設置し、アンケート調査や事例調査などを行ってきた。今回のガイドブックでは、①集約化に関する全国の生コン協組の考え方と実施状況(一次調査)②特徴的かつ実用的な集約化事例(二次調査)③集約化の手法について④過去の集約化ガイドブックのまとめで構成されている。
全生両連合会の原田修輔常務理事は今回の集約化ガイドブックについて「全国の生コン協組では、理事の世代交代によって過去の集約化事例を知る人が少なくなっている。そこで過去に発刊したガイドブックの内容も取り上げた」と語る。
一次調査では、全国315協組のうち、269協組から回答を得た。回答を得た協組のうち、「集約化は必要である」と回答したのは74%に上った。また、希望する集約化の範囲としては、協組内の部分集約が42%、協組内全体の集約化が37%と、約8割を占めた。これは組合員の持つ営業領域(商圏)の特徴が影響を及ぼしていると分析している。
集約化に必要な条件としては、「工場規模の適正化と適正な利益確保」が33%と最も多く、「供給空白地区の解消、工場配置の適正化」、「対象地区または協組全体の合意を形成」がそれぞれ20%、「各種助成金、融資の目途」も17%あった。また、協組の関与、シェアの考え方、13~17年度における集約化の実績、共同販売以外の協組で実施・検討している共同事業などについての調査結果をまとめた。
10事例を紹介
協組内部の生産受・委託による集約化(生産受会社方式・生産委託方式)として、高岡(富山)、大崎(宮城)、徳島西部(徳島)、大分県南(大分)、佐久(長野)の5事例を紹介。中でも佐久協組では02年からの7年間で生コン工場を10工場削減した。また、隣接する上小生コン協組(上田市)にあった生コン工場が、佐久協組の生産受託会社に生コン製造を委託する形で3個1を行うという、協組の垣根を超えた集約化事例として取り上げられている。
協業組合や有限責任事業組合(LLP)を使った事例として、那賀(徳島)、水俣(熊本)、天草(熊本)の3事例を紹介した。那賀協組は1997年に生コンの受注・販売を協組、生コンの製造・運搬を協業組合共生、原材料などの運搬を株式会社共生で行うことで、製造工場を4工場削減した。水俣協組は10年に生コン製造を熊南生コンLLP、生コン運搬は熊南運送で実施する体制とし、稼働工場を1工場減らした。天草は15年に5社7工場が天草みらい生コンを設立して3工場を集約。同年に2社が天草中央生コンLLPを設立して1工場を集約化したことで、15年に5工場が集約化された。
協組によるシェアの買取りや保証によって集約化を実現した静岡東部、静岡富士の2事例を取り上げた。静岡東部協組は12年に組合主導でシェアの買い取りを行い2件の集約化を実現した。静岡富士協組は00年代から10年間の販売権を協組で保証した集約化を行っている。この制度を活用して、これまでに7工場が閉鎖された。