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2018年11月15日号

1;値上げ交渉が最終局面~セメント

セメントの値上げ交渉が最終局面に入っている。これまでに太平洋セメントは生コンなどユーザーの6~7割、住友大阪セメントは7割程度から有額回答が出ている。8日の決算説明会で住友大阪セメントの関根福一社長は「回答をもらっても(金額に)満足できないところは交渉を継続している。妥協せず、高さに執着していく」と強調した。太平洋セメントの不死原正文社長は9日の決算説明会で、下半期で残りのユーザーとの妥結を図り、「期中に決着させたい」と述べた。
セメント大手・中堅各社は、昨年暮れから年初にかけて、4月1日出荷分から1000円程度の値上げを表明した。石炭価格の高騰や物流費、耐火レンガなど諸資材価格の上昇が理由。だが、交渉は全般に遅れており、2018年4~9月期の値上げ効果は、営業利益ベースで太平洋が3億円、住友大阪が2億円にとどまった。不死原社長は「上半期中に決着させる覚悟でやってきたが、地震や豪雨など自然災害が続いたため、当初計画より遅れている」と要因を説明した。
値上げ交渉は夏前後から進展しており、それを反映する形で『建設物価』の普通セメント(バラ)の表示価格も東京、横浜、大阪、沖縄などでトン当たり200~500円引き上げられている。各社は、当面の獲得目標を500円程度に引き下げている。
19年3月期の値上げ効果は、太平洋が20億円、住友大阪が16億円を見込む。不死原社長は「上積みを期待している」と値上げ効果拡大の可能性を示唆した。数社の入れ合い先や大口顧客との交渉をどう進展させるかがこれからの焦点になる。