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2018年10月11日号

1;広範囲に出荷復調~関東一区の生コン

関東一区の生コン需要が広範囲に復調してきている。2018年度上期(4~9月)の主要10生コン協同組合の出荷数量は、東京地区や神奈川、埼玉中央など7協組で前年を上回った。前年割れの3協組もほぼ前年並みで仕上がり、需要減退に歯止めがかかりつつある。物流倉庫など民需が支えている。
下期も比較的堅調に推移しそうだが、職人不足などによる工期遅延や工法変更など需要の下押し圧力が続いているほか、大型物件向けの納入が終わり端境期に入るところもあり、不透明感も依然根強い。
東京地区の上期は想定を5万m3上回った。五輪施設工事や大型再開発工事が盛期入りしている。ただ、9月は前年同月比22・7%減の25万4千m3で17年2月以来、19か月ぶりの減少となった。稼働日が前年同月より2日少なかったこと、職人不足などで現場都合のキャンセルが相次いだことに加え、天候不順も響いた。
職人不足問題が下期の出荷にどういう影響を及ぼすかは未知数だが好調な需要環境に変わりはない。通期では想定の340万m3を上回り、355万m3が射程圏に入っている。
3県庁所在地に展開する神奈川、埼玉中央、千葉中央も増加した。千葉中央は小幅増だったが、今後、病院や物流倉庫などの大型工事が相次いで本格化し、巻き返しに転じるもよう。神奈川や埼玉中央は物流倉庫などの民需が活発化しており、ともに想定よりも上振れした。契約残も100万m3以上抱えているため、下期に急失速する可能性は低い。
昨年度に過去最低だった東関東、三多摩はそろって2ケタ増となった。三多摩では物流施設、再開発、外環道といった大型工事が重なった。東関東は物流倉庫が出荷を支えてきたが、この終息に伴い下期はやや低調な局面が訪れそう。
玉川は8月の出荷が21か月ぶりに増加し、9月も5・6%のプラスとなった。下期はリニア中央新幹線工事などがけん引する形で底堅く推移する見通し。