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2018年09月06日号

1;スラグ骨材、製品会社に拡販へ

スラグ骨材を取り巻く環境に変化が出てきた。コンクリート用スラグ骨材で最も流通量が多い高炉スラグは漸減傾向が続く一方で、銅スラグ細骨材は瀬戸内沿岸部を中心に販売網を広げている。高炉スラグメーカーは、生コン向けだけでなくコンクリート製品会社への拡販を見据えている。
鉄鋼スラグ協会のまとめによると、高炉スラグ骨材の昨年度の出荷量は前年比7.9%減の177万8千トンだった。このうち細骨材が7.6%減の146万2千トン、粗骨材が8.8%減の31万7千トン。細骨材は2006年度の348万8千トンをピークに漸減している。
高炉スラグ骨材メーカーは従来、出荷量の多い生コン向けに販売の軸足を置いていたが、近年生コン工場の骨材サイロに空きが少ないことや、i―Construction(アイコンストラクション)でプレキャスト化が推進されていることを受けて、コンクリート製品会社を新たなターゲットにしている。現在、土木学会で高炉スラグ細骨材を使ったコンクリート製品の設計・製造指針の作成が進められている。
非鉄スラグの昨年度の出荷量は、フェロニッケルスラグ骨材が7.5%増の4万3千トンだった。銅スラグは6.2%減の29万トンと、環境安全品質への対応策として、混合比率の上限が規定されたことが影響し、漸減傾向が続く。銅スラグは製造拠点5か所のうち4か所が集中する瀬戸内沿岸部の四国や近畿などで利用拡大に向けた検討が進む。四国では香川砕石事業協同組合が砕砂と銅スラグ細骨材を事前混合し、砕石資源の延命と環境負荷低減を両立させる方法を模索している。近畿では日本建築学会や日本コンクリート工学会、大阪兵庫生コン工組で骨材や生コンに使った時の性状把握などに取り組んでいる。
電気炉酸化スラグ骨材の昨年度の出荷量は7.9%増の6万8千トンと、3年前の14年度の実績(3万6千トン)に比べ2倍に拡大した。製造拠点も愛知県の3か所、兵庫県の1か所となった。電気炉酸化スラグ全体の生産量は昨年度261万7千トンで、骨材の出荷比率はまだ3%程度のため、さらに需要が伸びてくれば、生産拠点が広がる余地がある。