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2017年02月09日号

1;生コン経営底を脱する兆しも~本紙調査

コンクリート新聞の生コン業況定期調査によると、2017年の経営見通しについて昨年と比べて「さほど良くならない」が50・3%と半数を占めた。出荷は全般に盛り上がりを欠いた状態が続き、業況はあまり改善しないという見方だ。次いで「悪くなる」28・4%、「良くなる」21・3%の順だった。ただ、1年前に実施した16年の経営見通し調査では「悪くなる」が過半を超え、「良くなる」が1割強にとどまっていたことからすると、経営環境は底を脱し、多少好転してきたと読み取ることもできそうだ。

全国の生コン会社(本紙購読)の経営者・幹部を対象に四半期ごとに実施する同調査に合わせて今年の経営見通しを調べた。155社から回答を得た。

「さほど良くならない」理由(記入式)を集計、分類すると、「出荷減少」に類する回答が43件で最多だった。次いで受注競争などによる「価格の下落」で6件。ほかに、「生コンに代わる製品の影響(二次製品化)」(関東二区)、「単価は上昇するが出荷は減るため」(近畿)など。「悪くなる」理由の第一も「出荷減少」で37件だった。次いで「コストアップ」4件、「売価の下落」3件など。

一方、「良くなる」理由の第一は「出荷増加」に類する回答で20件、次いで値上げなどによる「売価の上昇」で8件。ほかの理由として「他社を吸収合併した効果が表れる」(東北)、「工場集約化効果」(関東一区)、「高強度など付加価値品の増量」(北陸)など。

地区別に見ると、「良くなる」が最も高いのが関東一区で40%を占めた。東京オリンピック・パラリンピック特需がようやく本格化するため。東北、東海、近畿、四国は全国平均を上回った。近畿は、大阪市場の正常化を受けて売価上昇を期待する声が目立った。

「悪くなる」が過半を超えたのは北海道、中国。「来年度は過去最大の出荷減となるもよう」(北海道)、「公共工事が減り民間工事も先が見えず」(中国)、「生コンを使う工事の減少」(同)などといった声が寄せられた。

人材確保が焦点

今年の経営課題(記入式)は、「人材の確保・育成」に類する回答が63件と2年連続で最多だった。「運転手の高齢化」(東北)、「若手労働者の新規雇用」(関東二区、「後継者の問題」(北陸)、「技能者の確保」(四国)など生コン会社が従業員の高齢化や担い手不足に直面している現実が改めて浮き彫りになった。

「合理化・コストダウン」29件、「値上げ・値戻し」27件、「設備の修繕・更新」27件、「出荷量の確保」23件と続く。ほかに「共販の維持」(中国)、「アウトサイダー対策」(北海道)、「新技術への挑戦」(関東一区)、「特需対応の車両確保」(同)、「生コンでしかできない商品の開発」(関東二区)、「突然の故障対策」(九州)など。