1;東北 出荷格差が拡大~生コン
東北6県では太平洋側(岩手、宮城、福島)の3県と日本海側の3県(青森、秋田、山形)で出荷格差が大きくなっている。太平洋側の3県では、福島県の双葉郡を除けば震災の復興工事のピークが過ぎ、前年実績を下回っているものの、1工場当たりの年間出荷量は5万m3を超えている地域もある。一方、日本海側の3県で特需がない地域は、1工場当たり1万m3前後と厳しい状況だ。出荷格差は広がっており、供給エリアの維持や輸送コストを考慮した再集約を視野に入れる必要がありそうだ。
全国生コン両連合会によると、東北6県の工場数は9月末現在で307。全生連が公表している今年度の出荷想定を工場数で割ると、1工場当たり出荷量は2万7千m3となるが、太平洋側と日本海側で格差が広がっている。太平洋側の岩手と福島が3万1千m3、宮城も4万2千m3で、全国平均の2万4千m3を上回っているが、日本海側の3県は2万m3に届かない。山形は山形市内で東北中央自動車道や大型の民需があるが、青森や秋田は大型物件が少なく、昨年度に続き、今年度も過去最低出荷を更新する見通しだ。両県とも年間出荷量が1万m3前後となっている地域がある。
輸送費は上昇
輸送コストの上昇は、各地域共通の課題となっている。特需のある地域では、コンクリートミキサ車の傭車を引っ張り合う状況が続いている。太平洋側の場合、他地域から傭車を調達しており、運転手の宿泊代なども経費として上乗せされるため、傭車費の高止まりが続いている。一方、日本海側で特需のない地域は、出荷は減っているものの、輸送エリアが広いためこれ以上ミキサ車を削減すると、供給エリアの維持に支障が出てくる可能性がある。1台当たりの輸送量が減っても台数の維持が求められるため、ミキサ車の減価償却費が負担となっている。
昨年度の生コン出荷量を自動車検査登録情報協会がまとめた2016年3月末のミキサ車台数で割ると、東北全体では1台当たりの輸送量は増加している。ただ、太平洋側は増えているが、日本海側は震災前に比べてほとんど変わっていない。近年は大型車の免許取得者も減っていることから、定年退職者が出た場合、退職者の補充を行わず、そのまま減車するケースが多い。工場の採算性向上、供給エリアの維持の観点から、各地域でミキサ車の適正台数を算出していくことが求められている。
協組連で賠責保険
こうした中、生コン賠償責任保険への加入を検討する協組も出始めた。すでに個別で賠責保険に加入している協組もあるが、協組連で賠責保険に加入した事例が出てきたことを受け、出荷が少ない協組も協組連での加入を検討する動きもある。単一協組で賠責保険に加入している協組も、協組連加入に切り替えることで補償限度額の引き上げ、掛け金負担の軽減などが見込めることから、再び検討議題に浮上する可能性がある。