1;橋梁にコンクリート舗装~京都・大山崎町で施工
コンクリートを橋梁上の舗装(橋面舗装)に採用する新たな試みが始まった。セメント協会など産学官の研究チームで、小規模な橋梁で適用の可能性を調査し、将来的には重交通の橋梁でも採用できるように技術を開発していく方針だ。
国内の橋面舗装は、日本道路協会の舗装設計施工指針で「版厚が薄く、乾燥収縮等によるひび割れが生じやすい」と記載されているため、基本的にアスファルトが採用されている。一方米国では橋面舗装へのコンクリートの採用事例が多く、それを国内でも適用できるか調査するため、土木学会鋼構造委員会道路橋床版の複合劣化に関する調査研究小委員会、セメント協会舗装技術専門委員会、太平洋セメント、京都の大山崎町が共同研究を開始。京都の大山崎町の天王山古戦橋で試験施工を行った。
使用材料は米国の橋面舗装で使用実績の多いラテックス改質コンクリート(ポリマーコンクリート)を用いた。国内では高速道路の既設橋梁路肩部で適用された事例が報告されている。ポリマーコンクリートは、劣化因子を透過させない性能があり、付着強度も高く、橋梁の床版を保護するとの報告もある。
天王山古戦橋は、鉄筋コンクリート製のJR東海道線と阪急京都線を跨ぐ跨線橋で、縦断勾配が11%ある延長33mに施工した。8月上旬の夜間に打設した。ポリマーコンクリートは、施工現場にポットミキサ3基を持ち込んで製造した。敷均しや締固めは簡易フィニッシャを用いた。
施工では既設床版に残存するアスファルトとコンクリート床版の脆弱部をショットブラスト工法で除去した。水セメント比は38・6%。ポリマーセメント比は14・7%。
今回の施工では、簡易フィニッシャでは急勾配箇所の平坦性が確保できず人力のコテ仕上げが必要になったことと、ポットミキサの製造能力が小さく、材料供給の間隔が開いたことが課題となった。
セメント協会では、舗装技術専門委員会の傘下に橋面舗装WGを新設し、今回の施工箇所の追跡調査を行う。その成果を共同研究者に報告し、今回の施工事例で明らかになった課題の解決策を検討していく。