1;FAコンクリート指針を策定~土木学会四国支部
公共・民間工事にフライアッシュコンクリート(FAコン)を汎用的に活用して、四国のコンクリート構造物の長寿命化と環境負荷低減を目指す――。土木学会四国支部はこのほど、「四国版フライアッシュを結合材として用いたコンクリートの配合設計・施工指針」を発刊した。FAコンの技術的知見を網羅的にまとめたほか、水セメント比を水結合材比に読み替えた時の配合設計及び施工における留意点を示した。
同指針は、四国におけるFAコンクリート適用拡大に向けた調査研究委員会(氏家勲委員長=愛媛大学大学院教授)がまとめた。JISA6201(コンクリート用FA)に適合するFAのうち、Ⅰ種及びⅡ種を使用したコンクリートが対象。FAの置換率は結合材に占めるFAの質量の割合が10~30%の範囲内で用途に応じて適切に設定することを原則としている。
同指針では、FAコンの配合設計で、水セメント比を水結合材比に読み替えて運用することが明記されている。材齢28日強度が普通コンクリートと同等となる水結合材比を設定すれば耐久性が確保できることをその根拠として、従来のFAコンよりも経済的な配合設計を実現する。
同委員会は四国各県の生コン工場の実態調査を実施し、FAコンの供給体制と利用拡大に向けた課題を指針の中にまとめた。FAコンが供給できる工場は香川が4、徳島が10、愛媛が20、高知が12の計46で、四国全体の約3割を占める。出荷体制強化や利用拡大に向けて、適正な品質管理を行う技術指針の策定や安定した発注、適正な価格設定などの条件が必要とした。
全域に供給可能
四国電力と住友共同電力の石炭火力発電所が立地する愛媛と徳島から四国全域にJIS適合品のFAを供給できる。同指針では、北陸地方での取り組みを例にあげて、FAコンの推進モデル地区などを設定して重点的に利用される環境ができれば供給体制の整備が進むとまとめている。
目的別の置換率
同指針では、参考資料として生コン供給事業者及び施工管理者がFAコンを使用するうえで留意すべきポイントも示した。発注における指定条件として、普通セメントを標準とし、混和材としてFAを使うことを指定することや水セメント比の代わりに水結合材比を用いること、使用目的に応じてFAの置換率を指定することなどをあげて、使用目的別の置換率の範囲を示した表を記載した。