1;低炭素コン指針を作成~土木研究所ら9者
土木研究所とプレストレスト・コンクリート建設業協会、大林組などゼネコン5社、鉄鋼スラグ協会、電源開発はこのほど、「低炭素型セメント結合材を用いたコンクリート構造物の設計・施工ガイドライン(案)」を作成し、公表した。一般なセメントに比べて、高炉スラグ微粉末やフライアッシュ(FA)といった混和材の置換率を高めることで、材料製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を削減した結合材を「低炭素型セメント結合材」と定義し、それを使用したコンクリート構造物の設計・施工の基本原則や配慮することが望ましい事項を示している。
ガイドラインは、土木研究所ら9者が2011年から5か年計画で取り組んできた「セメント結合材の利用技術に関する共同研究」の成果を基に作成された。プレストレストコンクリート、鉄筋コンクリート、無筋コンクリートでの低炭素型セメント結合材の採用を対象とし、その全ての構造種別に共通する設計・施工の基本原則と配慮することが望ましい事項をまとめたガイドラインのほか、すでに実用化されている低炭素型のコンクリートの設計・施工の標準を示した5編のマニュアルを整備した。
ガイドラインでは、プレストレストコンクリートは早強セメントの一部を置換したコンクリート、鉄筋コンクリート及び無筋コンクリートは混和材置換率を高炉セメントC種の上限値以上(70%以上)としたコンクリートを低炭素型セメント結合材を使用したコンクリートとして定義した。求められる品質を「品質のばらつきが少なく、所要のワーカビリティ、強度、耐久性、ひび割れ抵抗性を有し、環境負荷低減に配慮したものでなければならない」と明示し、材料や配合、設計、製造、施工、品質管理における留意点などの解説を示した。また、参考として混和材の置換率を混合セメントB種相当としたコンクリートの品質の一般的な傾向を示すとともに、混和材の置換率を高炉セメントC種の上限値以上としたコンクリートではそれとは異なる傾向が見られるため、「ガイドライン及び5編のマニュアルの規定を入念に確認する必要がある」と明記した。
マニュアルは、①混和材を用いたプレストレストコンクリート橋②混和材を高含有した低炭素型のコンクリート③多成分からなる結合材を用いた低炭素型のコンクリート④高炉スラグ微粉末を高含有した低炭素型のコンクリート⑤高炉スラグ微粉末を結合材とした低炭素型のコンクリート」の5つのコンクリートの設計・施工の標準を示した。
①は土研とプレストレスト・コンクリート建設業協会の共同研究成果で、早強セメントの一部を混和材で置換したコンクリートを使用したプレストレストコンクリートの設計・施工の標準的な方法を示した。
②は大林組の「クリーンクリート」、③は大成建設と前田建設工業の「スーパーグリーンコンクリート」、④は戸田建設と西松建設の「スラグクリート」、⑤は大成建設の「環境配慮コンクリート」のコンクリートとしての特性や採用にあたって留意すべき点、設計・施工の標準を示した。
ガイドライン及びマニュアルは土木研究所のHPで共同研究報告書第471~476号として公開されている。