1;生コン統廃合が活発化~関東一区の生コン
関東一区で生コン工場の統廃合が活発化している。内山アドバンス(千葉県市川市)と川崎徳山生コンクリート(神奈川県川崎市)が川崎市内で2個1を実施する(1月14日付既報)。日立コンクリート(東京都豊島区)と埼玉エスオーシー(埼玉県川口市)も折半出資で生コン製造販売受託会社を設立し、埼玉の両社工場を集約することを決めた。東京都心など一部を除き需要環境が極度に悪化。一過性の現象ではなく、中長期的にも明るい展望が描きにくくなったことが背景にあると見られる。
関東一区では、生コンの需要が急激に縮小した2009年度から11年度にかけて神奈川、埼玉両県を中心に設備削減が進展した。 全国生コンクリート工業組合連合会の集計によると、関東一区の工場数(ドライ・自家用除く)は06年度末が611、08年度が604、10年度が578、12年度が522、13年度が519、14年度が517となっている。多くの生コン協同組合が設備廃棄費用の助成など支援制度を整えて統廃合を後押しした。
需要が本格的な回復局面入りした12年度以降、散発的だった統廃合が、ここにきて再び活発化している。一部を除き需要が冷え込んでいるため。住宅投資の不振、人手不足などによる着工遅れ、工法の変化など諸々の要因が複合化しており、神奈川、湘南、埼玉中央各生コン協組の今年度出荷は軒並み過去最低を更新する見込みだ。
こうした中で昨年12月に湘南地域の西東京相模生コンクリート(相模原市緑区)と相武生コン(横浜市瀬谷区)が3個2を実施した。今春には内山社と川崎徳山社が折半出資で設立した生コン製造販売受託会社が営業を開始し、7月をメドに両工場の生産を内山社の川崎工場に統合する。
さらに、埼玉では住友大阪セメントの直系会社と日立セメントのグループ会社が工場を集約する。日立コンクリートの戸田橋工場(川口市緑区)を稼働させる2個1で、すでに両社が所属する埼玉中央協組の承認を得ており、同協組の集約規程が適用される。
川崎と埼玉の事例は、セメント系列など従来の垣根を越えたものであり、関東一区における今後の統廃合の方向性を示唆しているといえそうだ。
関東一区は生コンの最大消費地だが、5年、10年スパンで見ると、需要の厚みは他地区と同様にどんどん薄くなっている。需要の一極集中など地域偏在も著しい。「需要減は少子高齢化など構造的な原因。長期縮小傾向が続くということを覚悟しておかないといけない」(神奈川県の生コン経営者)。生き残りに向けて再編第2幕が上がったとの見方もある。