文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2015年11月26日号

1;コンクリート舗装の実用書発刊~日本道路協会

日本道路協会はコンクリート舗装の基本を示す「コンクリート舗装ガイドブック(仮称)」の作成を進めている。コンクリート舗装の概念や設計、材料、施工に関する基本的な情報を網羅した実用書を目指しており、同協会の舗装委員会設計施工小委員会・コンクリートWG(小梁川雅WG長=東京農業大学教授)が今年度中の完成を目標に編集作業を進めている。

コンクリート舗装に関する同協会の図書としてはかつて「セメント・コンクリート舗装要綱」があったが、「舗装設計施工指針」を作成する際に、アスファルト舗装とコンクリート舗装が統合された。国内の道路舗装の9割超をアスファルト舗装が占めていることもあり、同指針はアスファルト舗装がメインの内容となっている。

白舗装に特化

小梁川委員長はガイドブック作成の経緯について「アスファルト舗装とコンクリート舗装では材料や設計手法、荷重の受け方に関する考え方が全く異なる。例えば、アスファルト舗装は疲労破壊輪数で疲労性能を規定して設計をするが、コンクリート舗装は荷重ごとの繰り返し回数とコンクリートの疲労特性を比較して設計をする。最近はコンクリート舗装を積極的に採用しようという流れが出てきているので実務者が設計、施工しやすいようにコンクリート舗装に特化した実用書が必要だと考えた」と話す。

ガイドブックは上位図書である舗装設計施工指針及び舗装施工便覧の内容に則った形でコンクリート舗装の基本的な内容をまとめている。対象としているのは普通コンクリート舗装、連続鉄筋コンクリート舗装、転圧コンクリート舗装を基本に、ポーラスコンクリート舗装やコンポジット舗装など機能を付加した舗装の情報も盛り込む。

新知見 コラムに記載

ガイドブックにはコンクリート舗装の設計手法や材料製造方法、施工方法の基本と採用するにあたっての留意点などを記載する。また、上位図書に記載されていない最新の知見をコラムという形で掲載する。コラムは「鉄網の使用を見直してみませんか」や、「疲労破壊抵抗性のアスファルト舗装とコンクリート舗装での考え方の違い」、「コンクリート版の上下面での温度差とその発生頻度」、「目地割りの注意点」、「早期交通開放型コンクリート舗装(1DAY PAVE)」など全18項目が盛り込まれる予定。小梁川委員長はコラムについて「例えば目地割りは意外と盲点で、経験のない技術者ではコンクリート版が割れやすい目地割りをしてしまう場合がある。設計にあたって参考としてもらえるようにコラムに示す」と話す。

そのほか、コンクリート舗装の施工風景や施工機械、破損事例などの写真を多数掲載し、施工経験のない技術者が読んでも視覚的に理解しやすい内容を目指す。

全国で講習会検討

ガイドブックの編集作業は最終原稿の作成段階にあり、今年度中の完成を目標にしている。発刊後にはガイドブックをテキストとした講習会を全国で開催することも検討している。

小梁川委員長はガイドブックについて「コンクリート舗装の普及拡大に向けては発注者が積極的に採用する機運を高めなければいけない。そのためには致命的な失敗をすることは許されない。ガイドブックにはコンクリート舗装を採用する上で注意すべき点や上手く施工するための秘訣などが盛り込まれているので、有効に活用してほしい」としている。