1;民間で大規模施工~コンクリート舗装
民間企業もコンクリート舗装の長期耐久性に注目している。物流会社、センコーが千葉県袖ケ浦市に建設する新千葉バルクターミナル(コンテナ基地)新築工事でスリップフォーム(SF)工法によるコンクリート舗装が採用された。施工面積は約3万m2で、生コン数量換算では約9000m3に達する。民間の工事でこれほど大規模にコンクリート舗装を採用するのは珍しい。同工事を施工する日本道路が「品質を落とすことなく、低コストで耐久性のあるコンクリート舗装」を提案し、採用された。
SF工法による舗装の施工は、高速道路や一般道のトンネル部で行われるケースが多い。道路以外で用いられた事例としては、中部国際空港におけるエプロン舗装がある。今回の現場も施工面積が広く、舗装工事の工期が9月中旬から今月末と短かったことから、日本道路はSF工法による無筋コンクリート舗装を提案した。
同現場では、路床とコンクリートの間に設ける中間層を、工事前に施工したアスファルト舗装を流用。コンクリートミキサ車は現場到着後、アスファルト路面に直接生コンを降ろす形とし、施工速度の向上につなげた。コンクリートの版厚は無筋コンクリートであることを考慮して30cmと厚めに設定した。
今回投入されたSFペーバは最大で8mの幅員にも対応できるが、敷地の形状やひび割れを考慮して5・435mとした。同現場での1日当たりの打設量は300~400m3。16回目の施工となった4日は距離205m、生コン換算で約330m3を打設した。SFペーバで敷均した後、自立性を維持するため、肩ダレ防止策を講じた。
生コンの出荷は現場に最も近い関東宇部コンクリート工業グループの小澤商事・袖ヶ浦宇部コンクリートが担当した。使用材料はいずれも工場に常備する普通セメント、AE減水剤、千葉産の天然砂(細骨材)、日鉄鉱業鳥形山鉱山の石灰石砕石(粗骨材)。粗骨材の最大寸法は20mmだった。日本道路の要求品質は曲げ強度が4・5N/mm2(7日)、スランプが4㎝だったことから、同工場では配合を調整し、水セメント比を46・6%、空気量を5・5%、細骨材率を40・1%とした。
SF工法における生コンへの要望について、日本道路は「長時間の輸送や夏期におけるスランプロスを考慮してほしい。また品質が一定になるよう同一工場からの出荷をお願いしたい」とした。