1;圧送業界も普及に備え~1DAY PAVE
1DAY PAVE(早期交通開放型コンクリート舗装)の施工実績が増える中、施工側も正しい扱い方を学ぶ動きが広がっている。全国コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連、長谷川員典会長)は毎年、会員の単協が開催している全国統一安全・技術講習会のカリキュラムに1DAY PAVEのポンプ圧送施工事例を取り入れた。ポンプ圧送の様子をまとめたビデオ映像を上映し、留意点などについて解説する。
全圧連傘下の圧送団体は毎年、全国統一安全・技術講習会を開催している。今年度は17日に北関東や東北、中国、九州地区の9単協が開催したのを皮切りに、約1年かけて全国で開く。講習会では今年3月に栃木県内で施工された1DAY PAVE用コンクリートの圧送の様子をビデオ映像で上映し、ポンプ圧送施工における留意点を講習した。全圧連が作成したテキストでは、1DAY PAVEのポンプ圧送における留意点は、「1時間を超えると急速にスランプロスし、すぐに硬化する性状があるため、気温25度以上でのポンプ圧送では特に注意が必要」とした。さらに、事前打ち合わせで流動化剤の使用の検討も必要とした。また、セメント量が500kg台と多く、水セメント比が30%台と低いため、作業性を優先したホースの選定はできない。
17日に講習会を行った群馬県コンクリート圧送協会(里見俊介会長)は全圧連のテキストと前日に群馬県内の生コン工場で行われた1DAY PAVE施工の映像を上映し、同協会前会長の小池茂事務長が解説した。基本事項として普通セメントと早強セメントの違い、粗骨材が1m3当たり120kg多く、砂が少ないため、高強度コンクリートと異なり粘性が小さく圧送抵抗が通常のコンクリートと変わらないとした。そのうえで、ビデオで前日の様子を解説した。コンクリート温度が製造直後で30度以上あり、夏場は一定時間以上運搬すると硬化が速くなるため、現場では打設するコンクリートがどのような状況にあるのか考える必要があると指摘した。打ち方は吊り打ちを基本とするとした。
1DAY PAVEは発注者だけでなく、施工側にも広く伝えていく必要がある。群馬圧送協会では、9月24日に群馬県生コンクリート工業組合らが行う施工見学会に圧送業者を参加させる意向を示した。実際の施工状況を見ることで理解が深まるとしている。また、ポンプ圧送後の打込み作業は時間が経つほどバイブレーターをかけにくくなるため、打設工事を行う業者に伝達することも必要だ。圧送や打設にかかわる施工者が1DAY PAVEについて知識を深めることは、普及拡大に向けたカギとなる。