1;戻りコン有償化で効果~JCI生コンセミナー
昨年から関東一区の生コン協組が導入した戻りコンの有償化で、残コン・戻りコンの抑制効果が出てきている。日本コンクリート工学会(JCI)の年次大会初日に開かれた生コンセミナーで明らかになった。生コンセミナー部会は、関東一区と関東二区(茨城、栃木、群馬)の生コン工場を対象に、残コン・戻りコンに関するアンケート調査を実施。戻りコンの有償化によって、関東一区の生コン工場では、53%が「大幅に減少した」、「多少減少した」と回答した。
同部会は残コン・戻りコンの契約と発生量を調査した。これによると、関東一区の生コン工場のうち、最も多かったのが、「組合が一部の現場と取り決めをしている」が33%を占め、「組合が全ての現場と取り決めをしている」が29%と、組合で現場と何らかの取り決めをしているケースが62%あった。
また有償化を実施する前、工場に戻ってくる生コン数量は全体の出荷に対して「3%以上4%未満」が46%、「2%以上3%未満」が31%だったが、現状は「2%以上3%未満」が38%で最も多く、「3%以上4%未満」が33%と、わずかながら削減効果が出てきている。東京生コン協組によると、残コン・戻りコンの発生量は有償化前の13年度は4%だったが、昨年度は0・5ポイント減の3・5%、今年度は1ポイント減の2・5%にまで減った。ただ、1か月あたりの残コン・戻りコンの処理費用は「100万円以上300万円未満」が39%、「50万円以上100万円未満」が29%と、コスト負担はなお重い。「300万円以上500万円未満」が5%、「500万円以上」も2%あった。
2012年にJCIで残コン・戻りコンの発生抑制および有効利用に関する技術検討委員会の委員長を務めていた広島工業大学の十河茂幸教授は「残コン・戻りコンはゼロにはならない。委員会として具体的な数値目標は掲げなかったが、半分というのはある程度の目安と感じていた。東京の事例を全国に展開してほしい」と語った。
生コンセミナーは「これまでの50年、これからの50年」をテーマに日本大学の桝田佳寛特任教授が「建築基準法第37条に基づく指定建築材料の国土交通大臣認定とJISA5308レディーミクストコンクリート」、広島工業大学の十河教授が「生コンとゼネコンの狭間の課題と提案」の題で講演。生コンセミナー部会が実施したアンケート調査について、芝浦工業大学の伊代田岳史准教授、日本大学の斉藤丈士准教授が報告した。
パネルディスカッションには桝田、十河両教授のほか、東京エスオーシーの伊藤司氏、建材試験センターの鈴木澄江氏、大成建設の陣内浩氏、三井住友建設の谷口秀明氏がパネラーとして参加し、伊代田、斉藤両准教授が司会を務めた。