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2015年07月09日号

1;待機時間長く持ち戻り~生コン輸送

生コンJIS(A5308)では、生コン工場から荷卸し地点まで90分以内と定められているが、諸々の事情で時間内に荷卸しできない場合もある。日本コンクリート工学年次大会2015実行委員会生コンセミナー部会(部会長・中田善久日本大学教授)が関東地区の生コン工場を対象に実施したアンケートによると、荷卸し地点に到達できない要因として「現場での待機時間が長いため」との回答が6割を超えた。今後、首都圏では東京オリンピック工事によって工事遅延の発生が想定されるが、JISの運搬時間を超えた生コンの扱いがクローズアップされそうだ。

アンケートは生コンを取り巻く現状の課題とその将来について考える話題の一つとすることを目的とし、関東一区と関東二区(群馬、栃木、茨城)の各生コン工業組合を通じて工組員全社を対象に行った。回答期間は4月13~24日。回答率は関東一区が78・6%、関東二区が78・7%だった。

このうち、輸送に関する項目の中で運搬時間に関する状況と意識について質問を設けた。90分以内に荷卸し地点に到達できないことがあるか尋ねたところ、全体の80%にあたる219工場が「できないことがある」と回答(複数回答)し、その理由は現場での待機時間が長いためとの回答が65・3%を占めた。また、渋滞などの交通トラブルも48・8%を占めた。現場での待機時間が長いことでJISの運搬時間の限度を超えた場合、積荷の生コンは「サインありで戻る」が81%を占めた。

現行のJISでは運搬時間の限度を協議によって変更できるが、運搬時間は90・8%が変更したことはないと回答した。延長は2%、短縮は7・2%だった。

今後、運搬時間、距離が長くなるとしたらその時間の限度はどのように変わるべきかという質問に対しては、「スランプが低下した場合に、流動化剤や高性能AE減水剤による回復を認める」という回答が67・1%を占めた。また運搬時間の限度を変更、廃止するとしたら技術的裏付けとしてどのような資料が必要かという問いへの回答は「スランプを回復させた場合の品質に関する資料」が76・1%、「スランプの経時変化を明らかにする資料」が59・9%だった(複数回答)。

詳細は14日の生コンセミナーで報告される。