1;業績けん引力低下~セメント部門
セメントメーカー大手5社の2015年3月期連結決算が14日、出そろった。営業利益は住友大阪セメント、三菱マテリアルが増益、残りの3社は減益だった。国内需要の低迷でセメント部門の業績けん引力は全般に低下した。16年3月期の営業利益は全社が増益予想。中でも宇部興産は化学部門の黒字転換で5割の増益となる見通し。セメント部門は、国内需要が多少上向き、石炭安などエネルギーコストも改善することなどから全社が増収増益を見込む。
15年3月期のセメント部門の連結営業利益は宇部を除き減益だった。現場の人手不足や消費増税による住宅投資の減退でセメントの国内需要が前年比4・5%減の4555万トンと4年ぶりに減少したため。5社の国内販売は軒並み減少で、三菱、宇部、トクヤマは全社平均を下回った。住友大阪の減少率が他社より小さいのはシェアの高い東海、近畿両地区の減少が小幅だったため。国内需要の減少をカバーするため、三菱と宇部が輸出を大幅に増やした。
専業2社の営業利益は、太平洋が60億円の減益、住友大阪が7億円の減益だった。太平洋は米国事業の黒字転換で海外が71億円と69億円の増益となったものの、数量減や変動費、固定費の上昇で国内の収益力が低下した。住友大阪は為替や数量減などが減益の要因。値上げ効果は太平洋が18億円、住友大阪が10億円だった。
兼業は宇部が15億円増えて2期連続で最高益を更新した。輸出採算の向上や廃棄物リサイクル収入の増加などによる。三菱は国内、米国での数量減が響き17億円の減益だった。トクヤマは物流コストの増加も加わり22億円の減益だった。
16年3月期の営業利益は、前期に対し太平洋が17億円、住友大阪が11億円、三菱が66億円、宇部が5億円、トクヤマが25億円の増益をそれぞれ見込む。国内需要が4600万トン程度と多少増えるほか、輸出も拡大する。宇部は3期連続の最高益を目論む。
太平洋は国内が12億円の減益予想だが、その分を海外でカバーする。値上げ効果も多少残り、太平洋が8億円、住友大阪が1億円を見込む。