1;営業益800億円以上~太平洋セメント
太平洋セメントは12日、2017年度に営業利益800億円以上、ROA(総資本経常利益率)7%以上を目指す3か年の17中期経営計画を発表した。既存事業の収益力を強化するとともに、3年で2000億円程度の設備投資・投資融資を実行して収益力の創出を図る。財務体質の改善も継続課題だ。有利子負債の削減などに努め、ネットDER1倍未満を目指す。株主への利益配分も増やす方針で、今年度の配当は1円増配の6円とする予定だ。
3月末で終わった14中計は、取り巻く経営環境の好転もあり損益計画を超過達成した。財務体質の強化も進展し、14年度末の有利子負債は3991億円と11年度末に比べて1110億円減り、ネットDERは2・6倍から1・1倍に改善した。だが、海外など成長分野への資本投下は実行に至らず、今後に課題を残す格好となった。
太平洋セメントは、2020年代半ばの「ありたい姿・目指す方向性」として、「グループの総合力を発揮し、環太平洋において社会に安全と安心を提供する企業集団を目指す」と設定。17中計をその実現に向けた第1ステップと位置づけ、「収益力の創出・向上」、「柔軟かつ強靭な財務体質の構築」、「株主還元の充実」に取り組む。14中計では営業キャッシュフローの過半を有利子負債の削減に充てていたが、17中計では成長投資と株主還元の比重を高める方針だ。
17中計では海外事業が収益のけん引役となる。米国、ベトナムなど既存事業の収益基盤の強化を図るほか、東南アジアでの新規事業の開拓、トレーディング事業の拡大により環太平洋地域におけるプレゼンスを高める。
国内セメント事業については、将来の国内需要の減少を見据えて、品質の維持・向上、安定した収益確保のための販売政策、都市部における競争力の強化など諸施策を実行し、「圧倒的なリーディングカンパニー」を目指す。17年度までの内需は4600万~4800万トンと想定した。
また、経営基盤の強靭化として、「災害防止」「温室効果ガス排出抑制」「ダイバーシティ実現」について10年後を目標到達年度とするCSR目標2025に取り組む。