文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2015年03月12日号

1;交渉長期化の気配~首都圏の砕石値上げ

首都圏における砕石値上げが長期化する気配だ。生コン需要の低迷で砕石需給も緩み、昨春のように交渉の主導権を握れなくなっているためだ。砕石業者は生産・物流体制の維持を理由に、4月出荷分からトン当たり300~500円の値上げを打ち出している。砕石業者は「東京五輪関連工事や外環道、リニア中央新幹線などの大型物件が動き出せば需給は逼迫する」(東京)として、粘り強く理解を求めていく考えを示している。

首都圏の砕石業者は2012年以降、電力料金や消耗品の価格上昇、ダンプも運転手の高齢化、廃業に伴う輸送費のコストアップ分を求めて、毎年値上げを実施してきた。この間、首都圏の生コン需要回復の追い風を受けて、各地域で毎年100~300円の値上げを獲得してきた。特に昨年は2月の大雪によって納入の遅配が発生し、これが値上げ交渉にプラスに働いた。

今回の値上げは昨年度と異なり、首都圏全体では需給は緩和している。足元の砕石出荷量は東京で前年より10%、埼玉は5%、神奈川は30%落ちている。神奈川の砕石業者は「昨年まで操業時間の延長などで対応していたが、今の生産量が適正な水準」とし、現状の需給規模で生産・物流体制を合わせると需要のピーク時には、ダンプや在庫が不足する恐れがあるとして、継続的に値上げを進める考えだ。一方で生コン需要が回復しつつある東京、千葉西部エリアに商圏を持つ栃木の出荷量は前年に比べほぼ横ばいで推移。埼玉向けの出荷減を両地区の出荷増で補った。こうした中、2月に過積載の取り締まりが強化されたことで、「待遇面を改善しない限り、輸送力は維持できない」(栃木の砕石業者)という。

需給逼迫という追い風がない中で、値上げを実施できるか注目される。