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2015年03月05日号

1;セメント内需、停滞続く

セメントの国内需要は2015年度も盛り上がりを欠いた状態が続きそうだ。セメント協会は2月26日、輸入を含めた来年度の内需が今年度見込みと同じ4600万トンになるとの見通しを発表した。官需減、民需増の見通しだが、「職人不足、人件費の上昇で工事費に占めるセメント原単位が下がっているので下振れリスクがある」(藤末亮流通委員長)と4600万トンを割り込む可能性もある。一方、セメントの輸出は、内需の停滞を受けて前年比5・3%増の1000万トンと4年ぶりに大台に達する見通し。

今年度の内需見込みは前年比3・6%減の4600万トンにとどまり、連続増加は3年でストップする。同協会の当初予想との対比では200万トンの下振れ。内訳は官需が2・6%減の2400万トン、民需が4・6%減の2200万トンとなるもよう。

消費増税や建設コストの高騰でマンション、戸建て住宅といった住宅投資が冷えた。設備投資もさほど振るわず、内需は下期から減速感を一段と強めた。昨年度まで需要を押し上げてきた東北や関東一区が低調だった。

来年度は官需が4・2%減の2300万トン、民需が4・5%増の2300万トンと予想した。官需を減少予想としたのは今年度の補正予算が前年より小規模になるため。一方、民需は住宅投資や設備投資の回復を織り込んだ。東京オリンピックやリニア中央新幹線といった大型プロジェクトは想定から外した。

今年度の輸出は11・7%増の950万トンと前年実績を3年ぶりに上回る見通しとなった。メーカー各社は、内需が減る中で最大生産を維持するために、輸出抑制措置を解除している。アジア、豪州からの引合いが強いこと、円安などで輸出採算が向上していること、競合国の輸出余力が減退していることなどから、今年度は50万トン上積みした。

1月2ケタ減全国的に低調

同時に発表した1月のセメントの国内販売(輸入除く)は、前年同月に比べて10・2%減の331万トンと4か月連続で減少した。昨年の水準が高かった反動もあるが、全国的に低調だった。地区別では沖縄を除く10地区で軒並み前年を割り込み、需要地の関東一区、近畿両地区は1割前後の落ち込みとなった。

4~1月合計では3780万8千トンと前年同期に比べ3・8%の減少。2月は20日時点の1日当たり前年比が0・5%増とほぼ横ばい。ただ、昨年は関東を襲った2度の大雪で需要水準自体が低い。

一方、輸出は3か月連続の増加となった。シンガポールなどアセアン向けが5割超の増加と急伸した。4~1月で9・5%増の776万6千トンとなった。