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2015年01月29日号

1;秋需不発で前年割れ~セメント

セメント協会が22日発表した2014年のセメントの国内販売(輸入除く)は、前年に比べ0・7%減の4585万4千トンとなり、4年ぶりに前年実績を下回った。6月から減少基調に転じ、1年で最も需要が旺盛になる10~12月の秋需も期待に反し不発に終わった。消費増税や建設費の高騰による住宅投資の停滞、熟練工など作業員不足による着工遅れなどが要因とされている。輸入セメントを含めた国内需要は1・2%減の4640万トン(見込み)となった。一方、輸出は900万トンを超え、6年ぶりに増加した。

昨年の生産は0・3%増の6190万8千トンで、3年連続の増加だった。内需は減速感が強まったものの、メーカー各社はフル生産を堅持した。

国内販売を地区別に見ると、一昨年まで需要を押し上げていた東北、関東一区、九州の荷動きが低調だった。九州は災害復旧工事が終息した反動減。東北や関東一区は工事の端境期が予想以上に長引いた。人手不足などボトルネックがその遠因とされている。民需も地域によって状況は異なるが、一昨年までの力強さを欠いた。「設備投資も思ったほど伸びていない」(同協会)。

都道府県別で前年実績を下回ったのが26都道府県と半数以上を占め、このうち青森、大分両県が2ケタマイナス。最大需要地の東京は5・5%の減少だった。一方、中部、関西両経済圏の中心地、愛知が3・5%、大阪が2・3%それぞれ増えた。再開発工事などが出ている。

国内需要にブレーキがかかったため、メーカー各社は輸出拡大へと舵を切った。数量ベースで34万5千トンの増加で、国内販売のマイナス分が全て輸出に振り向けられた格好だ。アジア向けは横ばいの667万1千トン、豪州などアジア域外向けが243万7千トンと17・4%増えた。

今年度内需は4600万トン程度に

同時に発表された12月の国内販売は前年同月比7・5%減の396万3千トンだった。3か月連続の減少で、官民好調な沖縄を除いた全ての地区で軒並み前年比減となった。12月末在庫は前月比1%増の440万トンにまで積み上がり、需給は緩和している。

1月の国内販売は20日時点の1日当たり前年比が5・8%減と依然として低調。このペースで推移すると、会計年度の国内需要は4600万トン程度にとどまる。前年実績に対し約170万トンのマイナス、当初見通しより200万トンの下振れとなる。