1;50年設計白舗装を施工~中国地整
国土交通省中国地方整備局は12月18日、従来より増厚した50年設計のコンクリート舗装の説明会、および現地見学会を開いた。セメント・生コン関係者、施工業者、行政関係者ら100名以上が参加した。
同地整は昨年9月に東広島・呉自動車道の金剛山トンネルの前後で、50年設計のコンクリート舗装を採用すると公表。トンネル部ではこれまで、作木大和道路の両国トンネルで採用実績があるが、今回は明かり部も含まれる。50年設計のコンクリート舗装の採用にあたり、東広島・呉道路コンクリート舗装長寿命化に関する検討会議(佐藤良一委員長=広島大学特任教授)を設置し、検討を進めてきた。説明会では同地整道路工事課の山崎彰課長補佐が採用までの経緯について解説した。
山崎課長補佐は、コンクリート舗装を取り巻く情勢について、2012年度の道路関係予算で「コンクリート舗装の積極的活用」、12年の社会資本整備審議会道路分科会・建議(中間とりまとめ)や国土交通省技術基本計画でコンクリート舗装を「適材適所で採用する」方針が示されたことを紹介。同地整が12年度末にコンクリート舗装活用マニュアル(案)を策定した経緯も説明した。コンクリートが持つ長期耐久性を活かすため、金剛山トンネルの497m、盛土区間は267m、切土区間は218mの計972mに50年設計のコンクリート舗装を採用した。
佐藤教授は連続鉄筋コンクリート舗装(CRCP)の優位性について、「20年設計と50年設計のコンクリート舗装は2~3cmしか違わない。生コン価格の安さを考えれば、少しでも増厚して長寿命化し、CO2削減にも寄与すべき」とした。また、CRCPは10m当たり15mmの沈下追随性を持っており、路盤のたわみにも対応できるとした。また、今回の設計では、今年度に改定される予定の舗装標準仕方書で寸法効果を考慮したコンクリート曲げ強度、疲労曲線を用いた。これらによって導き出されたコンクリートの版厚は「切土区間が29cm、盛土区間が32cm、トンネル部の外部からの温度変化の影響を受けやすい坑口部(20m)は32cm、中央部は28cm」と説明した。今後、同地整と同大学は設計で用いたひずみ、沈下、温度などのデータを収集する。
施工者の日本道路は施工の特長を説明した。生コンは賀茂コンクリート(東広島市)が出荷した。曲げ強度が4・5N/mm2、スランプが4・0cm、粗骨材最大寸法40mmで高炉セメントB種を使用した。生コンはミキサ車で輸送した。1日当たりの出荷量は200m3前後のため、同社が単独で納入している。
ミキサ車から移動式ベルトコンベアで荷受けし、コンクリートスプレッターで敷均し、コンクリートフィニッシャー、コンクリートレベラーで仕上げた。施工継ぎ目は水で洗い出し、わざと粗面化することで、コンクリート版の噛み合わせを良くしている。