1;密実・高耐久へ試験施工~東北地整
国土交通省東北地方整備局は直轄の道路工事で、コンクリートの密実化、高耐久PC桁、耐凍害覆工コンクリートの採用など、コンクリートの品質を確保するための新たな取り組みをしている。密実化では施工の基本事項の遵守や脱型後の表層評価などを行っている。耐凍害コンクリートは宮古盛岡横断道路のトンネルでの施工を予定している。
東北地方整備局が管内の橋梁を点検した結果、海岸線付近での飛来塩分による塩害、凍結抑制剤散布地域での塩害のほか、初期欠陥である豆板、コールドジョイントなどがいまだに発生している。16日に仙台市内で開かれた全生連(全国生コンクリート工業組合連合会)東北地区本部主催の理事長会議で、東北地方整備局道路部道路工事課の遠藤雅司建設専門官がコンクリート構造物の品質確保の取り組みをテーマに講演したが、それによるとコンクリート品質改善のためコンクリートの密実化を図っている。初期欠陥の防止のため、施工の準備段階、施工中に監督員が立ち会い、施工の基本事項の遵守状況を確認している。山口県で効果をあげている施工状況把握シートを活用している。
脱型後にはコンクリートの表層評価方法を導入している。目視判定を導入して各項目を評価し、必要に応じて透気試験、吸水試験などを試行している。
試行工事は2014年度から復興道路などの整備局発注工事のうち橋梁下部工、トンネル覆工のすべてで行っている。今後、PC上部工、RC床版などに順次展開する予定である。配合、打ち込み、締固めの試行とともに、養生方法を試行し、透気試験などで効果を把握する。
東北地方整備局は14年度から高耐久PC桁を標準採用している。硬化コンクリート中の空気量が4・5%程度で、凍害、塩害防止のため基本的に防錆鋼材を使用する。凍結融解の繰り返しによっても表面層の劣化がほとんどおきない。
プレキャストPC床版橋を対象に、復興道路などで高耐久PC桁を標準採用する。特に宮古以北の三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路で採用し、ほかでも積雪寒冷の状況を考慮して採用する。順次ほかのプレキャスト桁、現場打ち桁にも使用を拡大する予定だ。
復興支援道路の宮古盛岡横断道路の新区界(しんくざかい)トンネル(4998m)の両方の坑口からトンネル内に向かって約100mの区間に、耐凍害覆工コンクリートを採用する。硬化コンクリート中に4・5%以上の空気量の確保を目標としている。今後の施工に先立って、荷卸し時の空気量、生コン練混ぜ時の空気量、1スパン10・5mの覆工コンクリートの打ち込み終了までの間の空気量の確保などについて、試験練りおよび実大試験打ち込みによって検証する。
耐凍害コンクリートの検討は、東北地方整備局道路工事課、同・岩手河川国道事務所、鹿島建設、岩手県生コン組合・出荷生コン工場、岩手大学が参加する体制で行っている。