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2014年09月25日号

1;資材価格上昇に追いつかず~生コン

全国的に生コン市況が上昇している。建設物価によると、都道府県庁所在地の生コン価格は今年度上期に12都市で上昇した。地域別では関東一区、二区での価格上昇が目立った。これらの地域では骨材、セメント価格がともに100~500円上昇し、生コン協組がコスト転嫁の値上げを進めている。今年度の生コン出荷量は全国的にほぼ横ばいで推移しており、需給も引き締まったまま。生コン協組の値上げも反映されてきているが、諸資材の値上がりに追いついていない。首都圏では2008年の原油高騰時に検討された契約形態の見直しについて論議が再燃しそうな気配となっている。

県庁所在地の平均価格は14年3月末に比べ132円上昇の1万2244円(18・18・20)となった。関東一区、二区では200円~900円上昇した。横浜、さいたま、千葉、前橋、水戸は協組による値上げが徐々に浸透し、組織率の高い長野では協組の共販価格が満額反映された。このほか、盛岡と岐阜が1000円、福島、名古屋は500円。松山が200円上昇した。

骨材など原材料価格の上昇が生コン値上げの共通の理由だ。中でも骨材は物流体制の維持が困難として価格上昇は全国的に急ピッチ。ダンプは骨材よりも手取り金額が良い建設残土に流れる傾向が続き、東日本大震災の復興工事に加え、東京オリンピック工事、沖縄・辺野古沖の米軍移設工事が始まると骨材運搬船の不足はさらに深刻になると予想されている。さらに燃料費も上昇を続けていることから、骨材業者は運賃の引き上げを強く求めている。今後も骨材調達コストの上昇が続きそうな気配だ。

原材料の価格は出荷ベースで変更されるが、ほとんどの生コン協組の契約形態は物件単位のため、生コン協組には今、資材価格のコストアップをスムーズに販売価格へ転嫁できる仕組みが求められている。

複数年にわたる大型物件が発注される大都市の生コン会社にとって、コスト負担が長期間に及ぶため、特に切実な問題だ。コストアップをスムーズに転嫁するには契約形態を出荷ベースに変更するのが近道となる。現在出荷ベースを採用する協組は徐々に増えてきているが、三大都市圏の生コン協組で出荷ベースに変更したところはない。

こうした中、関東一区の生コン協組は旧契約の膨張を少しでも抑えるため、引合物件の足切基準である「3か月条項」を厳格に運用する。資材価格の上昇を背景に、今後、契約形態の見直しに向けた議論が進みそうだ。