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2014年03月06日号

1;各地で値上げの狼煙~関東一区の生コン

関東一区各地で生コン値上げの狼煙が上がっている。東京地区生コンクリート協同組合(東京都中央区、吉野友康理事長)は2月24日に開いた理事会で、6月1日引合受付分から販売価格を1000円引き上げることを決めた。骨材、セメントといった原材料価格の上昇分や相次ぐ出荷予定の変更で膨らむ輸送コストを転嫁する。関東一区では昨秋以降、コスト上昇を理由とする値上げが広がっている。地区最大の東京地区協組が値上げを打ち出したことで、関東一区市場は全面的な値上げモードに突入する。

東京協組の値上げは500円上げた昨年6月以来、1年ぶり。6月1日以降の定価は1万5500円(18・18・20)、仕切価格は1万4950円となる。同時に軽量コンクリートの価格スライドを5年ぶりに改定し、加算額を6800円と1000円上げる。普通コンクリートのベースが上がるため、実質2000円アップになる。ミキサやミキサ車ドラム内の洗浄コストの増加などが理由だ。

26日に開いた登録販売店会議で正式に値上げを表明した。先月末から今月上旬にかけて理事がゼネコンを訪れ、値上げの理由を説明、理解を求める。

前回の値上げは、「一定の成果」(吉野理事長)を挙げており、おおむね300円上がったというのが協組の見解。それを反映して『積算資料』3月号で東京17区の表示価格が1万2200円から1万2500円に引き上げられ、『建設物価』と同額になった。

だが、「予想以上のコストアップ」(西森幸夫営業委員長)で、コスト転嫁が追い付かない状況という。1月末契約残456万m3のうち、前回値上げ前の旧契約が410万m3を占める。こうした中で、骨材メーカーやセメントメーカーが再び値上げ姿勢を強めてきており、同協組は原材料の安定確保の観点から「ある程度の受け入れはやむを得ない」(同)とみている。加えて、人手不足などによる現場の工程遅延で出荷予定の変更が多発。傭車の確保やそのキャンセル料負担など輸送費の上昇も収益を圧迫していることから、2年連続の値上げを決めた。

また、4月1日付で生コン価格スライド表を改定し、現行のスライド表の適用を始めた09年7月以降、新たに導入、あるいは導入予定の戻りコン有償化制度やキャンセル料金制度などを掲載する。

原材料強含み

関東一区では一昨年秋頃からおおむね全域で骨材を中心とする原材料価格が強含みに転じた。値上げ攻勢はとまらず、栃木砕石が今春から1000円程度の値上げを打ち出し、海送骨材も値上げの構えを見せている。

原材料の一段高を見据えて、すでに埼玉中央、埼玉県北部、湘南、玉川各生コン協同組合が4月1日引合受付分を対象に500~1000円値上げを打ち出している。秩父地区生コン協同組合も4月から800円上げる予定だったが、大雪の影響で工事が遅れていることを考慮し、価格改定を6月1日に延期した。