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2013年12月12日号

1;再値上げ機運高まる~関東一区の生コン協組

関東一区で生コンの再値上げ機運が高まっている。骨材の値上げ攻勢が続いていることに加え、セメントメーカー各社も「値上げ交渉の年内決着」を旗印に販売姿勢を強めていることが背景にある。原材料需給もタイト化しており、生コンにとって不利な交渉環境が形成されつつある。埼玉中央生コン協同組合(さいたま市)は10日に登録販売店会議を開き、来春から生コンの販売価格を800円引き上げることを表明した。すでに関東一区では、横須賀地区生コンクリート協同組合(横須賀市)や玉川生コンクリート協同組合(川崎市)が再値上げを打ち出している。再値上げを検討中の協組もあり、追随する動きが広がる公算が大きい。

関東一区では昨秋以降、ほぼ全域で骨材の価格が上がり、ほとんどの生コン協組がコストアップ分を転嫁する値上げを打ち出した。市況が4ケタで低迷していた横浜・川崎やさいたまで調査機関の表示価格が1万円の大台に戻るなど一定の効果が出ている。需要環境の好転も協組による市況対策を後押しした。

だが、これまでの値上げ効果は「コストアップに食われ、手元に残っていない」(神奈川県内の生コン会社)。前回の値上げでは過半の協組が上げ幅を500~800円と控えめに設定したため、今後、未達分が獲得できたとしてもコストアップは吸収できないとの声もある。当初からその懸念は指摘されていた。

こうした中で、骨材が一段の値上げに向けてふたたび販売姿勢を強めている。栃木砕石は今秋から前回値上げの未達分の確保に乗り出すとともに、来春にトン当たり1000円以上上げることを表明している。千葉砂も運賃値上げに動き始めている。さらに、セメントメーカーも交渉のピッチを速めている。

再値上げで先行したのが横須賀地区協組で、10月1日から販売価格を500円引き上げた。続いて玉川協組が4月1日から川崎向け500円、目黒・世田谷向け700円それぞれ上げると表明した。

埼玉中央協組の値上げは、今回も建値を変えず、販売店への売上割戻金を減額する形を取る。4月1日以降の仕切価格は城北1万2700円、南部・中部1万2500円とし、売上割戻金はゼロになる。西部は売上割戻金を1300円から500円に圧縮、1万2000円とする。販売店会議で関根睦己理事長は、「(値上げの)一番の要因は骨材。ミキサ車のリース料も徐々に上がっている」と述べ、協力を求めた。

湘南生コンクリート協同組合(横浜市)や埼玉県北部生コンクリート協同組合(熊谷市)なども再値上げを検討しており、近く打ち出すもようだ。

需要の回復がコスト高招く

関東一区の生コン需要は09年度に底を打ち、増加基調が続く。マンション・ビル工事、自動車道工事とその沿線での物流倉庫工事がけん引役する。中長期的にも東京オリンピック、リニア中央新幹線など大型プロジェクトが目白押し。待ち望んだ生コン需要の回復だが、一面ではそれが骨材需給のタイト化や原材料・生コンの輸送力不足を助長し、コストアップとして跳ね返ってくるという皮肉な循環を生んでいる。