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2013年11月21日号

1;セメントの底力をPR

セメント協会は19日、東京・新橋のヤクルトホールで、一般市民にインフラ整備の重要性やセメント産業が行っている廃棄物・副産物の利用などをPRする「セメントの底力」セミナーを開いた。これまでセメント・生コン業界の技術者や、土木・建築技術者向けの講習会は開いてきたが、一般市民向けのセミナーは初めて。約200名が聴講した。

セメント産業は、産業界から発生する廃棄物・副産物のほか、下水汚泥や都市ごみ焼却灰を受け入れており、最終処分場の延命や循環型社会の構築に貢献している。セメント協会の固化材技術専門委員会の近藤秀貴委員長は、セメント業界の廃棄物・副産物の受け入れ状況などを紹介した。また、仙台空港は震災前にセメント系固化材を用いた地盤改良工事で震災の5日後に復旧できたことを紹介し、その効果をPRした。

セメント協会研究所の西田礼二郎所長は太平洋セメント大船渡工場や三菱マテリアル岩手工場で行われている東日本大震災によって岩手県で発生した災害廃棄物の受け入れ状況などを説明した。また、首都圏で頻発している集中豪雨に対応する環状七号線地下調整池などの防災・減災に貢献する施設を紹介した。

土木学会土木広報アクションプラン小委員会の龍尊子委員は、土木アクションプランとして自衛隊やJAXA、広告代理店などを訪問した経験を踏まえ、「セメントも土木構造物も命を守っているが、一般市民にはそれが見えにくい」と指摘。建設現場の見学と観光ツアーの組み合わせが成功した事例を挙げ、「両業界の魅力が伝えきれていないのではないか」とし、両業界とも広報活動を充実する必要があるとした。

また、国土政策研究所の大石久和所長は財務省が公表しているデータを用いて「公共工事が財政赤字を拡大させたのではなく、社会保障費が増大しているため」と反論。公共工事によって作られた道路や橋梁などの構造物は後世に引き継がれる社会資本になるとした。

生命・財産守る・竹下セ協副会長

セミナーの冒頭にセメント協会の竹下道夫副会長(宇部興産社長)は「セメントは人々の生命や財産を守る上で欠くことのできない材料である」と強調した。また、20日には福岡でも同様のセミナーが開かれた。