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2013年09月05日号

1;公共投資17%増に~来年度概算要求

国土交通省の2014年度の概算要求は、公共事業関係費が前年度比17%増の5兆1986億円、東日本大震災復興特別会計予算は7087億円となった。安倍内閣肝いりの国土強靭化に応えるため、インフラの老朽化対策や巨大地震に備える防災・減災対策に重点を置く。強靭化・防災が来年度のセメント・生コン需要を支えることになりそうだ。

財務省は8月30日、各省庁からの14年度予算の概算要求を締め切った。一般会計総額は99兆円超で特別会計の東日本大震災の復興費用を合計すると100兆円を超える。

国交省概算要求では真に必要な公共事業予算の確保を図る必要があることから、通常の要求に加え、「新しい日本のための優先課題推進枠」に係る要望を最大限活用する。

予算の重点化では防災・減災、老朽化対策が組み込まれ、「公共施設の耐震化、津波対策等による強靭化の推進」(1234億円)、「社会資本の戦略的な維持管理・更新の推進」(3731億円)、「地域における総合的な事前防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援」(1兆2227億円)などを掲げた。これらの事業で公共事業関係費の3分の1を充てる。

今年度の生コン需要は1億m3に迫る勢いで推移している。セメントも4700万トンを超えるのは確実だ。今回の予算措置により、来年度以降も比較的良好な需要環境が続きそうだ。需要の地域偏在の緩和も期待される。

補修需要取り込み

セメントメーカー各社は老朽インフラ対策として拡大が見込まれる維持補修需要を取り込むため、セメント系補修材などのラインナップ強化に動く。例えば、橋梁関係はNEXCO基準に合致した商材を求められるケースが多く、各社はニーズに合致した商材開発を急いでいる。また、各種材料を有効的かつ優先的に使用してもらうため、工業会の整備も進める。

太平洋マテリアルのリフリート工業会が設立30年以上の歴史を誇るが、他社も同様の工業会を有し、事業強化を図る。電気化学工業のテクノクリート施工研究会や、宇部興産が2月に立ち上げたリニューアル工業会などがある。メーカー各社ではこれらの工業会会員各社との相乗効果をねらう。

また、既存ストックの改修がメインだが、大規模更新の促進で、新設着工につながることも期待される。12年後の25年度には道路橋の大半が供用開始後50年以上となり、大規模更新需要も増えそうだ。