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2013年05月23日号

1;生コン・製品の倒産減る

 生コン会社やコンクリート二次製品会社の倒産が減少している。東京商工リサーチのまとめによると、2012年度の「セメント・同製品製造業」の倒産は前年比9件減の24件と4年連続で前年を下回った。震災復興や大都市圏での民需好調を背景に需要環境が好転してきたこと、中小企業金融円滑化法で資金繰りが支えられたことなどが要因と見られる。ただ、今年3月末で金融円滑化法の期限が切れたため、この影響が今後、表面化してくる可能性もある。
 04年度以降、セメント・同製品製造業の倒産件数が最も多かったのが08年度で57件だった。改正建築基準法やリーマン・ショックなどの影響で生コンやセメントなど建設資材の需要が減少局面入りした時期と合致する。当時は世界的に原料・燃料価格が急騰、製造コストも上昇していた。
 09~11年度は30件台に減り、昨年度は20件台にまで減少した。昨年度の倒産のうち負債額5億円以上は生コン6社、製品4社の10社。最も負債額が多かったのは生コンが昭和興産(28億円。特別清算)、製品が福岡スプリットン工業(37億円。民事再生法)だった。
 一方、セメントや生コン、建材など販売店「セメント卸売業」の昨年度の倒産は1件増の11件だった。倒産件数はここ10年、6~16件で推移しており、昨年度もその範囲内だった。
 負債額は86%減の25億円と大きく減少した。11年暮に関西最大手のセメント・生コン二次店が100億円超の負債を抱えて倒産し、この年の負債総額が直近で最大の185億円に膨らんでいたため。
 4月の倒産件数は、セメント・同製品業が2件、セメント卸売業がゼロで、件数、額ともに前年同月を下回った。しかし、金融円滑化法の期限切れに伴い、資金繰りが悪化する恐れがあることから、しばらくは予断を許さない状況が続くものと見られる。
 昨年度の建設業の倒産は、前年比15・1%減の2867件だった。この4月まで14か月連続で前年同月を下回った。建設業の倒産が減っていることも、生コンや製品会社の倒産減の一因と見られる。
 ただ、ここへきて同法の期限切れの影響が地場建設を中心に広がっており、1~4月で同法の適用を受けていた32社が倒産した。前年同期より3割多い。「金融円滑化法による支えがなくなり、焦げ付き懸念が増している」と(首都圏の大手販売店)と与信管理に気の抜けない状況が続いている。