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2013年04月25日号

1;総合評価にCO2削減~香川県が導入

 香川県は地球温暖化対策として、今年度から生コンの製造、輸送などの過程における二酸化炭素(CO2)排出量を算出する総合評価方式を導入する。建設産業はCO2を大量に排出する産業だが、なかでもコンクリート起源のCO2の占める割合が多いためだ。同時に輸送におけるCO2排出量の少ない地元産骨材の使用を促進するねらいもある。地産地消を図ることで、地場産業の活性化をねらう。
 対象となる工事は、施工計画および技術提案型の総合評価方式を適用する工事のうち、コンクリート使用量が多く、コンクリート起源のCO2削減効果が期待できる工事を入札公告で指定する。今年度は数件の工事が対象となる見込みだが、現時点で対象工事は決定していない。今年度の実績を踏まえて、今後、対象工事の拡大を検討していく。
 CO2排出量削減の評価対象はセメント、骨材、生コンの3品目。セメントはセメント製造・輸送を起源とする単位コンクリート当たりのCO2排出量削減について評価する。骨材も製造と輸送におけるCO2排出量を評価する。海砂や石灰石など県外採取の場合は海上輸送と陸揚げ地からの陸上輸送のCO2排出量が加わるため、県内採取の骨材に比べCO2排出量は大きくなる。さらに、生コン製造過程におけるCO2排出量と輸送過程におけるCO2排出量を加味して評価する。
 CO2削減評価のイメージは、入札参加者による排出量算出と発注者による評価基準値を算出し、評価基準値が入札者の算出排出量を下回ることが条件となる。排出量の算定方法は、セメント評価と地産地消評価に分けた。セメントはセメント製造過程が原料採掘からセメント製造までの過程におけるCO2排出量を算出するが、工場、種別ごとのCO2排出原単位が公表されていないため、県が定めるデフォルト値を用いてもよいとした。セメント輸送過程では、入札公告において明示する原単位を用いて算出する。地産地消では骨材製造、骨材輸送、生コン製造、生コン輸送のそれぞれの過程のCO2排出量を算出する。製造におけるCO2算出が困難な場合はデフォルト値を用いても良いとしている。
 総合評価への導入に向け、香川県では23日にゼネコンを対象とした説明会を開いている。また、生コンや砕石などを対象とした説明会も連休明けに開催する予定だ。香川県の取り組みは発注工事におけるCO2削減を進めるとともに、地産地消を推進するねらいがある。その一方で、ゼネコンがCO2排出量によって生コン工場を選択するするようになれば、協組共販体制に影響が出てくる懸念がある。