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2013年04月04日号

1;単品スライド条項改定で生コンなど追加~国交省

 国土交通省は3月29日、生コンクリートをはじめとするコンクリート類の単品スライドの運用について考え方を整理し、全国の地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局に事務連絡として通知した。これまで、鋼材や燃料油などを対象に単品スライド条項を運用してきたが、東日本大震災の被災地で、生コンなどの価格が上昇していることから、新たにコンクリート類を加えることにした。また、都道府県にも地整などを通して情報提供する。
 今回の対象工事材料は生コンのほか、セメント、モルタル、コンクリート混和剤、コンクリート用骨材、コンクリート二次製品の6品目。単品スライドは工事請負契約書第25条第5項において「特別な要因により工期内に主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、請負代金額が不適当になったとき」に適用すると定めている。適用はこれまで、運用基準として対象資材の価格上昇に伴う工事費増加のうち1%を超えた場合とし、コンクリート類も同様に適用する。適用する場合の特別な要因について、「大規模な災害の発生に伴う資材需要の急増」、「協同組合の販売価格の大幅な変動」が該当するとした。同時に発注者は受注者からも情報提供を求め、対象品目の当該地区における需給動向や、協同組合の販売価格の推移など必要な情報を把握する。
 スライド額を計算する際に用いる対象数量は、設計図書の数量(数量総括表や図面などに記載されている数量)、設計数量(設計図書の数量にロスを加えた数量=積算上の数量)、証明数量(受注者から証明された数量)から、選定する。さらに、設計図書に数量の記載がある場合とない場合の考え方をそれぞれ掲載したほか、設計数量の算出例「設計量×(1+ロス率)」を定めている。この場合のロス率は国交省土木工事標準積算基準書による。また、設計パッケージ型積算基準を使用している場合の設計数量の算出例は別に定めた。新土木工事積算システムを使用する場合は、使用材料一覧表として材料ごとに集計した結果が出力される。
 受注者への確認事項は納品書、請求書、領収書などで購入価格の証明を求める。ただし、これらで証明が困難な場合は社内書類などで確認する。また、工場渡しで購入し、運搬費の証明が困難な場合は、計算式により算出する。仮に情報公開により、単品スライドの証明資料の開示請求があった場合は、社内書類なども開示する方針としている。
 変動後の実勢価格の算定は、対象材料を搬入した翌月の物価資料の価格と定めた。これは、契約と購入がほぼ同時期に行われるため、購入した翌月の物価資料などに実勢価格として掲載されることを加味している。
 東日本大震災の被災地では生コンなどの価格が急上昇している。昨年水害のあった九州北部でも生コン価格が上がり、受注者などから問い合わせもあるという。今回の改定で、価格が大きく変動した場合は適用を検討していく。