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2012年09月27日号

1;主任技士育成を強化~生コン工業組合

 全国の生コン工業組合がコンクリート主任技士の育成に力を注いでいる。全生工組連技術委員会がこのほどまとめたコンクリート品質の安定化と保証に向けた対策報告書によると、5年先にコンクリート主任技士を1工場当たり1名以上確保できる地区は、回答した37工組中6工組と16%にとどまった。主任技士の育成に向けて講習会などを開催する工組が増えているが、人員削減などで技術担当者が参加できないケースもある。世代交代に向けて、経営層の理解が課題となりそうだ。
 コンクリート主任技士の問題は、構造改革の品質向上の項目に常駐化が盛り込まれたことから浮上していた。以前に総務委員会が行った実態調査によると、1工場に1名以上の主任技士が在籍している工場の全国平均は53%と低く、都道府県別では30%台の地区もあった。同時に行われた主任技士有資格者の年齢構成の調査で50~60代が多く、主任技士の常駐化を議論する前に、「育成を掲げるべき」との意見が多く上がっていた。
 技術委員会は昨年に主任技士数の増員施策に関する調査を行った。これによると65歳を定年退職の年齢と仮定した場合、5年先の主任技士有資格者数は5%減少することが分かった。また、5年先に主任技士が1工場に1名以上確保できる地区は16%で、一方で数年先も確保できないと回答した工組は45%(17工組)だった。これを受けて、各工組は世代交代に備え、主任技士育成を強化している。
 主任技士対策講座や模擬試験、小論文の添削などを行っている工組は20(54%)だった。このうち、昨年度から主任技士の育成事業を開始したのは埼玉、奈良の2工組。10年度からは和歌山、香川、大分の3工組ある。
 一方で問題点として、工場の人員削減で通常業務が忙しく講習会に参加できないケースが散見されることが挙げられた。主任技士の育成で成果をあげている山口工組は、「経営者を筆頭にした会社幹部の理解とこの流れに同調した技術統括者、工場長などの意気込み」としている。
 このほか、報告書では、粒度分離装置の設置の有無、粗骨材の2分割貯蔵、粒度の日内変動などに関する調査結果を収録している。