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2019年03月28日号

1:供給側のメリット追求~国交省生コン情報電子化

国土交通省は14日、同省内で第8回コンクリート生産性向上検討協議会(前川宏一会長=横浜国立大学教授)を開き、今年度下半期に同省の発注工事で試行した「生コン情報の電子化」の経過報告を行った。電子化により打設時間の短縮などの効果が確認された一方で、生コン供給側のメリットが課題としてあがった。

同省は関東、近畿両地方整備局の5現場で生コン情報の電子化を試行した。それによると、コンクリートポンプ車への付け間隔や運搬車の入れ替わりに伴う打ち重ね時間が1~7分短縮されたことにより、打設時間は最大20%短くなる結果が得られたことが説明された。また、工事事務所内で行う日報作成などの時間が大幅に短縮できるなど、生コン情報の電子化によって、構造物の品質向上や施工者のメリットが大きいことが確認された。
一方、戻りコンの削減や生コン工場側の作業時間短縮などについては、当初想定していたようなメリットが確認できなかった。それを受けて、協議会では今後、供給者側にとってメリットが出るような生コン情報の電子化策を追求していく方針だ。
具体的には生コン出荷量の約6割を占める建築分野への横展開や、動画などを活用した検査、試験、帳票類の簡素化などを検討する。長期的な取り組みとしては、生コンJIS(A5308)の配合計画書などの帳票類、納入伝票といった書類の電子化も取り上げている。同省はすでに、生コン製造業界の担当官庁である経済産業省素材産業課と同協議会の情報を共有しており、「生コン情報の電子化が工場にとってメリットが出るように、今後の進め方については全生連と意見をすり合わせていく」意向だ。
ガイドラインを改定
同協議会でこれまで取り組んできた成果として、「土木構造物設計ガイドライン」を今月中に改定することを報告した。同ガイドラインは1996年に策定されていた。今回の改定では、土木物件で使う標準的な生コンのスランプを12cmとした「流動性を高めた現場打ちコンクリートに関するガイドライン」など、協議会でとりまとめた各種の技術資料を取り入れる。