文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2019年02月21日号

1;生コン会社「人」巡る課題に難渋~本紙調査

生コン製造会社が「人」を巡る課題に頭を痛めている。コンクリート新聞社が全国の生コン会社の経営幹部を対象に行ったアンケート調査によると、2019年の経営課題について、回答した120社のうち、72・5%が人手不足・確保や人材育成などと答えた。高齢化が進む中で、担い手の確保に難渋している様子があらためて浮き彫りになった。さらに、働き方改革関連法の施行を控え、「長時間労働の是正、有給休暇の取得促進」「労働環境の整備」「福利厚生の充実」も課題となっている。
経営課題に関するアンケート調査は生コン業況定期調査に合わせて毎年実施し、その年の課題を最大3つまで記入してもらっている。
回答総数292件のうち人手不足や人材育成に類する回答は87件となり、16年から4年連続で最多となった。地区別では近畿を除いた9地区で一番多かった。職種ではコンクリートミキサ車の運転手不足を挙げた会社が比較的目立つ。「人材育成及び運転手不足」(九州)、「若手の育成」(中国)、「輸送人員の確保」(関東一区)、「工場内の人員の育成(プラントマン、配車係)」(同)、「労働力の維持」(北海道)、「ドライバー不足の解消」(関東二区)、「技術系職員の確保」(東海)、「後継者の不足」(同)などの声が寄せられた。
2番目に多かったのが40件で数量減や需要の確保に類する回答だった。需要が堅調な関東一区などでも数量減が懸念されている。
「コストアップ」と「設備の老朽化・更新」がともに27件で3番目。「コスト上昇(特に人手不足の影響)」(東北)、「輸送費、原材料費の高騰による利益の減少」(北海道)、「プラント老朽化対策」(近畿)、「設備の更新」(九州)、「車両の更新」(四国)などといった回答が見られた。経営環境悪化などで設備投資を控えていた反動が表面化してきたもよう。近畿では設備更新に類する回答が最多を占めた。
次いで値上げ浸透などを含め「販売価格の維持・向上」、「コストダウン・合理化」、「働き方改革への対応」、「輸送力や傭車の確保」、「原材料の確保」の順。少数回答では「品質の確保」「協同組合の強化」「産業廃棄物の処理」「新規事業の開拓」「労働災害の防止」などがあった。
近畿良くなる4割
今年の業況見通し
2019年の業況見通しを調査した。それによると、18年に比べ「さほど良くならない」が5割強を占めた。コストアップや出荷減が主な理由。次いで「悪くなる」が3割弱、「良くなる」が2割弱だった。
地区別で見ると、「良くなる」の割合が最も高かったのが近畿で4割に達した。大阪兵庫を中心に市況が上昇しているため。北陸、東海、九州も全国平均を上回った。「新幹線特需」(北陸)、「ベース価格の上昇と出荷量の増加」(東海)、「大型物件による出荷量の増加」(九州)などが背景にある。ただ、北陸と東海は「悪くなる」も全国平均を上回っており、地域によって好不調が分かれるもよう。
一方、「悪くなる」の割合が最も高かったのが東北。「官民含めて発注物件が少ない」「震災需要減とコストアップ」「アウトとの競合」などが理由に挙げられた。
また、足元の需要が好調な関東一区は「良くなる」が1割強にとどまった一方、「悪くなる」が3割近くを占めた。理由は「人手不足」「働き方改革による年間生産時間の短縮」「コストの上昇に見合う売価が確保できない」「運転手不足によるミキサ車のマイナスが実出荷を伸び悩ませている」「五輪関連需要が減少するため」など。