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2018年12月06日号

1;輸送力不足が深刻化~東京生コン協組

東京地区では、五輪施設工事や再開発工事などで最盛期入りした生コンの需要に、輸送力が追いつかなくなってきた。相次ぐ納入予定の変更も相まって今秋以降、キャンセル待ち現場が急増している。さらに、中庸熱セメントの需給逼迫で、中庸熱生コンの供給にも黄色信号が灯り始めている。東京地区生コンクリート協同組合(斎藤昇一理事長)は4日、登録販売店会議を開き、納入予定の精度向上をあらためて求めるとともに、供給対策を打ち出した。
東京協組の生コン出荷数量は高原状態が続いており、4~11月で前年同期に比べて9・6%増の242万2千m3となった。過去5年平均を約35万m3上回る。通期では360万m3(前年実績345万m3)に達する勢いだ。
昨年末の調査によると、月間運搬能力は32万7千m3が上限。10~11月出荷はそれを上回る水準で推移しており、輸送力は「パンク状態」とされている。
納入予定の変更やキャンセルが輸送力不足に拍車をかけている。上半期の納入直前変更の発生率は17・7%と前年度に比べて2・8%上昇。打設するかどうかギリギリまで引っ張る現場が増えているため、キャンセル件数も右肩上がりだ。
同日の会議で斎藤理事長は「(需給は)かなり厳しい。ピークは来年度上半期まで続く」との見通しを示した。
供給対策として遂行率を割決の基本としつつ、割決後物件は「配合計画書の確認のみで出荷可能な場合は割決外の工場に出荷を依頼する」、割決前物件は「製造・運搬能力を加味して選定。遠方工場の割決も積極的に行う」と柔軟性を持たせる。ただ、輸送力不足がどれくらい緩和されるか効果は未知数だ。
中庸熱生コンの出荷対応については、セメント各社に対し来年3~4月の定期修理期間の変更を含め生産計画の見直しを求めるほか、新規引合いは中庸熱セメントの在庫状況を確認し、受け付ける。現時点の予想では来春に中庸熱生コン供給が滞るとされている。