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2018年11月08日号

1;生コン輸送効率化が課題に

コンクリートミキサ車の輸送量が低水準で推移している。昨年度の全国のミキサ車1台当たりの平均輸送量は1766m3と、前年に比べ19m3増えたが、過去の14年間で4番目に低い水準だった。生コン出荷の減少に加えて、積載量の規制強化なども輸送量が減った要因とみられる。輸送コストが増加する中で、輸送効率をどう高めていくかが、全国共通の課題となっている。
生コン出荷は全生連の統計、ミキサ車台数は自動車検査登録情報協会の統計で輸送量を算出した。過去14年間で、全国のミキサ車1台当たりの平均輸送量が2000m3を超えたのは2006年度(2013m3)と13年度(2070m3)の2回のみ。どちらも生コン出荷が増えたことが大きな要因だった。
18年3月末のミキサ車の台数は、昨年度の生コン出荷量が04年度から約3割減ったことを受けて、25%減っている。特に07年度から11年度にかけては毎年2000~3800台減り、この5年間で約1万台減った。出荷が回復した13~14年度にかけて台数は増えたものの、15年度から再び減少基調になっている。需要と連動して台数は減ったが、輸送量の落ち込みはそれより大きい。
3千m3超は東京のみ
ミキサ車の輸送量は地域ごとの差も大きい。生コン工業組合別で、最も1台当たりの出荷量が最も多かったのが東京で、昨年度は3318m3だった。3000m3台は東京のみで、2000m3以上は沖縄(2809m3)、愛知(2442m3)、岩手(2428m3)、大阪兵庫(2250m3)、鳥取(2207m3)、石川(2011m3)の6工組。逆に最も少ない高知は913m3、和歌山も938m3と1000m3にも届かなかった。両地域とも出荷が低調で、かつ山間部が多く、輸送効率が悪いことも要因になっていそうだ。
予定変更も影響
輸送効率は従来、生コン工場と建設現場との距離によって左右されるといわれてきた。ただ、都市部では、工期の遅れや現場都合などによる納入予定の急な変更やキャンセルによって、ミキサ車が稼働できず、輸送効率が悪化するケースが出てきている。
出荷前日のキャンセルなら、近隣工場にミキサ車を貸し出すこともできるが、出荷当日のキャンセルになると、工場側が準備したミキサ車は全く稼働できない。特に都内では、従業員の運転手不足に加え、スポットで派遣してもらう日雇運転手への賃金保証などが、運搬費が上昇する一因にもなっている。
出荷予定がもっと早く確定すれば、各工場で融通できるミキサ車の台数が増えて、「現状よりも配車の手配には余裕が出てくるはず」(首都圏の生コン輸送会社)とみられている。輸送力低下に悩む東京地区生コン協同組合では、ゼネコンや販売店に対して、出荷予定の精度向上を求めているものの、逆に足元では出荷予定の変更が増えている。生コン業界からゼネコンに「出荷予定の精度向上」は、ミキサ車の需給を緩和させるだけでなく、運搬費の上昇も抑えられる方策となることを訴え続ける必要もありそうだ。