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2018年09月13日号

1;材料多品種化に対応~混和剤

混和剤に対する要求性能が一段と高度化、多機能化している。使用骨材の多品種化やフライアッシュ(FA)をはじめとする副産物利用の拡大などで、コンクリートの品質や性状の確保に関する混和剤への期待が高まっている。生コン用では「現場で施工しやすい性状の確保、保持」、製品用では「早強化による型枠回転効率の向上とエネルギーコストの削減」「表面美観の向上」に対するニーズがある。
混和剤メーカー各社では、生コン向けにコンクリートの性状や粘性を制御する性能を備えた製品を拡充している。その背景には、コンクリート工事で施工性を重視するゼネコンの強い意向がある。生コンの使用材料が多様化しており、特に、副産物を大量置換した低炭素型のコンクリートは普通コンクリートに比べて経時によるスランプの低下が大きく、施工性を確保するためには混和剤による性状改善が不可欠となっている。
今夏は全国各地で観測史上最高の気温を記録するなど現場の環境条件も生コンの品質、性状にとって過酷さを増しており、必要な品質と施工性を確保するために多くのことが混和剤に求められた。
こうした中、7月にはBASFジャパンが普通強度向けレオロジー保持型混和剤「マスターレオシュア」を発売した。従来のAE減水剤高機能タイプに比べてスランプの保持性能を飛躍的に向上できるほか、時間の経過による粘性の増加を抑制できるため、時間に制約されることなく、良好なポンプ圧送や仕上げを行うことができる。
フローリックや花王も施工性確保のニーズに応えて、ポンプ圧送性を改善する製品を相次いで投入している。
早強、美観にニーズ
コンクリート製品向けの混和剤は「早強化による蒸気養生時間の削減による型枠回転効率の向上とエネルギーコストの削減」、「製品の表面美観向上」に対するニーズが根強い。混和剤メーカー各社ではユーザーの要望に応える製品メニューを揃え、i―Construction(アイコンストラクション)を追い風に拡販を図っている。
建築用途では柱、梁などで高強度、高流動化が進んでおり、鉄筋も過密化している。それに対応するため、充填性を持たすことのできる製品ニーズが強い。
一方、土木用途では大型部材を効率的に製造できる製品が求められている。製品の表面美観については骨材中の成分やFAのカーボン分などを原因とした黒ずみを抑制する製品が求められている。