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2018年07月05日号

1;生コン、製品とも活用~国交省

国土交通省は6月27日、コンクリート構造物における埋設型枠・プレハブ鉄筋に関するガイドラインと、コンクリート橋のプレキャスト化ガイドラインを公表した。埋設型枠・プレハブ鉄筋のガイドでは、生コンとコンクリート製品それぞれの特徴を活かした「ハーフプレキャストなどの新技術・新工法の活用促進」を目指して、その特性や留意点をまとめた。特に埋設型枠については、その内部に流動性を高めたコンクリートを使うことを、全国コンクリート製品協会(全コン)が全国生コンクリート工業組合連合会(全生連)に提案。これにより、プレキャスト化が進んでも生コン需要が減らないとして、普及に向けた協力を求めている。
両ガイドラインは、コンクリート生産性向上検討協議会傘下の「橋梁等のプレキャスト化および標準化による生産性向上検討委員会」(睦好宏史委員長=埼玉大学教授)がまとめた。埋設型枠・プレハブ鉄筋ガイドの制定で、国交省は施工実績を重ねつつ、適正なコスト評価や調査、設計、施工、検査、維持管理における生産プロセスの改善に期待している。
埋設型枠の採用で期待される効果としては、①型枠撤去作業の省略による工期短縮②安全性の向上③意匠性を目的とした型枠の採用による美観や景観の向上④廃材の減少などをあげた。デメリットは、形状や数量による費用変動が大きいこと、埋設型枠の製造・輸送に要する期間を考慮する必要があること、埋設型枠の設置に重機が必要になる可能性があることなどを示した。
埋設型枠は構造部材型と非構造部材型に大別した。構造部材型は、打設したコンクリートの性能に影響を与えず、供用後も構造物と一体となって機能することが条件。非構造部材型は、鉄筋のかぶり厚さとして考慮せずに、生コン打設時の側圧に対する抵抗性のみを期待したものとなる。非構造部材型の埋設型枠については、高強度モルタル製、コンクリート製、鋼製など6種の採用事例を紹介している。
全生連に協力要請
埋設型枠の普及に関しては、全コンのコンクリート生産性向上対策プロジェクトから全生連のi―Construction対応検討部会に協力が要請されている。全コンでは、コンクリート製の埋設型枠の内部に、近隣の生コン工場から調達した流動性の高い生コンを使うことを提案しており、これであれば需要の競合が回避できる。両団体で製品と生コンを一体化させる技術が開発できれば、国交省に対してコンクリート工事全体の生産性向上、工期短縮が期待できる技術として提案することもできそうだ。
設計段階で比較検討
コンクリート橋のプレキャスト化ガイドラインでは、架橋する現場の条件などによって、現場打ちコンクリートと、一部や全てをプレキャスト化する工法を予備設計段階で比較検討することを盛り込んだ。道路橋の橋げたは、JISA5373(プレキャストプレストレストコンクリート製品)の推奨仕様で橋梁の支間長が5~24mとなっている。支間長24m以上の橋梁はプレキャストと現場打ちが混在。45m以上は部材が大きくなるため、現場打ちコンクリートが使われることが多い。ガイドラインでは、支間長が24mを超える規模の橋梁で比較検討を行う場合が想定されている。