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2018年04月26日号

1;近畿で価格大幅上昇~生コン

コンクリートミキサ車の傭車費や骨材など原材料価格の値上げを受けて、全国的に生コン価格は上昇基調が続いている。建設物価2018年4月号によると、都道府県庁所在都市の建築表示価格(18・18・20)は17年4月に比べ251円上昇の1万3257円となった。
この1年で17都市で価格が上昇した。近畿で価格の大幅上昇が目立った。滋賀・大津は3600円上昇の1万8700円と、都道府県庁所在都市で最高値になった。員外社の加入などを受け、生コン協組の値上げが市況に反映されやすくなっていた。また京都と大阪も2000円上がり、それぞれ1万7400円、1万5800円、奈良は1400円上昇の1万7200円、兵庫・神戸も300円上昇の1万3800円となった。いずれも生コン協組の値上げが満額浸透した。
首都圏では、さいたまが500円上昇の1万1000円、神奈川・横浜は400円上昇の1万1400円、東京と千葉がそれぞれ200円上昇の1万3200円、1万1500円と、全都市で表示価格が引き上げられた。首都圏の生コン協組は昨年秋からコンクリートミキサ車の輸送費や骨材価格の上昇分を転嫁する値上げを進めている。昨年末にセメントメーカーが4月からトン当たり1000円の値上げを打ち出したこともあって、一部の協組は再値上げの検討に入った。首都圏では、今後も市況の上昇傾向が続く公算が高い。
長年市況が低迷していた栃木・宇都宮が300円上昇の1万円となった。宇都宮の表示価格が5ケタに到達したのは01年以来17年ぶり。有力員外社との員外利用協定締結などが奏功した。
ほかに、大分が1100円上昇の1万3400円、徳島が1000円上昇の1万4800円、福島が900円上昇の1万4600円、静岡と宮崎はそれぞれ500円上昇の1万2000円、1万7700円、佐賀が300円上昇の1万1100円、沖縄・那覇が200円上昇の1万3350円となった。
一方、表示価格が下落したのは新潟と長崎の2都市。新潟は2100円下落し9900円と、10年ぶりに1万円を割り込んだ。新潟ではこの2年で大型物件が終息し、相対的に員外社の出荷比率が上昇していた。大型工事の計画はあるものの、着工のメドが立っておらず、当面は現状の出荷水準が続く可能性が高い。今後新潟では、市況維持に向けて協組による結集が求められそうだ。これにより1万円未満の都道府県庁所在都市は新潟、山梨・甲府、高知、福岡の4都市となった。
注目は都道府県庁所在地の最安値である福岡。今月に員外6社が加入したことを受け、福岡協組は4月1日引合分から1万3000円を打ち出している。現在の福岡の表示価格は9000円だが、エリア内の員外社は1社のみと、協組の価格政策が反映されやすくなっており、市況回復が注目されている。