文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2018年04月19日号

1;倒産増も負債最少~昨年度 生コン・製品

東京商工リサーチ(TSR)のまとめによると、2017年度の生コン製造会社とコンクリート製品製造会社の倒産件数は計15件と前年に比べて87・5%(7件)増えた。ただ、1998年度以降では、昨年度に次いで2番目に少なかった。いずれも小規模倒産で負債総額は36・0%減の20億5100万円で最少だった。需要が伸びを欠く中で諸資材コストが膨らむなど経営を取り巻く環境は予断を許さない状況が続いているが、収益圧迫要因に対する生コン・製品各社の抵抗力も強まっているもようだ。
TSRでは生コン製造会社やコンクリート製品製造会社を「セメント・同製品製造業」として分類。負債総額1000万円以上の倒産情報を集計した。
倒産件数が前年を上回ったのは3年ぶり。内訳は、生コンが5件増の7件(負債額7億8600万円)、コンクリート製品が2件増の8件(同12億6500万円)だった。負債額別では、1億円以上が8件、5千万円以上が3件、1千万円以上が4件。
負債額が最も大きかったのがコンクリート製品の協栄管工(東京都)で4億6400万円だった。公共工事の削減で道路側溝などの販売不振が続いていた。次いで3億円でうるま生コン(沖縄県)、2億7000万円で三和(秋田県)、2億円でティーエス商事(埼玉県)、1億5000万円で富士ブロックセンター(長野県)、1億4400万円で三ケ日生コン工業、1億4200万円で東栄興業(愛知県)、1億円で青木生コン(栃木県)と8社で1億円を超えた。
15件のうち11件が赤字累積、販売不振、不良債権の発生といった「不況型倒産」だった。残りは事業上の失敗や運転資金の欠如、他社倒産の余波が原因。倒産の形態は破産が10件、特別清算、取引停止処分が各2件、民事再生法が1件だった。
一方、セメント卸売業の倒産件数は1件減の2件だった。負債額が1億円を超えたのは豊生商事(大阪府)で、赤字が累積し取引停止処分に至った。
98年度以降、生コンやコンクリート二次製品の倒産件数が最も多かったのが01年度で62件。負債総額も594億100万円に達した。倒産は需要の不調と連動して増えるが、ここ数年の水準は低い。負債総額が100億円を超えたのは14年度が最後。15年度から3年連続で前年を下回り、01年度の29分の1にまで縮小した。