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2018年03月23日号

1;消えゆく100万m3協組~生コン

生コンの出荷量が年間100万m3以上の生コン協同組合が徐々に消えている。コンクリート新聞社の調べによると、2018年度の出荷量を100万m3以上と予想しているのは8協組と20年前に比べて11協組減った。わずかに残った100万m3協組も、歴史を刻む過程で出荷規模が半分、あるいはそれ以下に縮小している。
コンクリート新聞社が発行する『生コン年鑑』などで各協組の出荷推移を追った。
1998年度当時、「100万m3クラブ」に名を連ねていたのは、札幌、仙台、山梨、埼玉中央、千葉西部、三多摩、東京地区、東関東、神奈川、湘南、玉川、名古屋、西三河、奈良、大阪広域、神戸、岡山県南、福岡地区、沖縄の19協組。組織率の高低などにもよるが、それが10年後の08年度に札幌、埼玉中央、三多摩、東京地区、神奈川、湘南、玉川、名古屋、大阪広域、広島地区、福岡地区、沖縄の12協組となった。全国の生コン出荷量は98年度が1億5331万m3、08年度が1億101万m3だった。
18年度までに三多摩、湘南、玉川、広島地区の4協組がクラブから退出し、8協組にまで減る。内訳は札幌が100万m3、埼玉中央が131万m3、東京地区が340万m3、神奈川が150万m3、名古屋が210万m3、大阪広域が710万m3、福岡地区が115万m3、沖縄が158万m3(最大値)で計1914万m3となる。クラブの構成比率は2・2%に過ぎないが、来年度の全国出荷予想8150万m3(全生連集計)に対する市場占有率は24%と4分の1を占める。
とはいえ、残ったクラブメンバーも20年前と比べ東京地区が327万m3減、神奈川が190万m3減、名古屋が90万m3減などと扱いを大きく減らしている。
背景には建設投資の縮小があるのはいうまでもない。人口が多く、基礎需要の厚い大都市圏も、例外にもれずその直撃を受けている。特に近年は工期が長期化したり、現場打ちがS造やプレキャストコンクリートに変更したりするなど需要の下押し圧力が一段と強まっている。加えて需要の地域間偏在も広がり、大都市圏では衛星都市の地盤沈下が著しい。
人口減少など諸々を勘案すると、中長期的にも需要環境が好転する可能性は低い。かつて100万m3クラブの一員だった関東一区のある協組の理事長は「再び大台に戻ることはありえない」との認識を示した。