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2018年02月15日号

1;停滞ムードが漂う~生コン経営調査

2018年の生コン製造業界の経営環境に停滞ムードが漂っている。コンクリート新聞社が全国の生コン製造会社(本紙購読者)の経営者・経営幹部を対象に行ったアンケートによると、今年の経営について過半が「さほど良くならない」と回答した。公共投資の減少、需要の局所集中など地域偏在の拡大や諸資材価格、輸送費の上昇懸念が背景にある。また、今年の経営課題の第一は「人材の確保」で、3年連続で最多となった。従業員の高齢化が進む中で、若い人材の確保に頭を悩ませている様子が垣間見える。146社から回答を得た。
18年の経営見通しの内訳は、「さほど良くならない」52・1%、「悪くなる」32・2%、「良くなる」15・8%。前年の同じ時期に行った17年の経営見通しアンケートと比べると、さほど良くならないはほぼ同じだが、良くなるが5・5ポイント低下し、悪くなるが3・8ポイント上昇した。
「さほど良くならない」理由(記入式)を集計、分類すると、「出荷減少」に類する回答が23件で最も多かった。「地区全体の出荷量の減少」(九州)、「公共工事主体の地域であるが、発注見込みも特需もないため」(北陸)、「先行きの出荷見通しが不透明」などの声が寄せられた。次いで、セメントや骨材の値上げ、輸送費用の上昇などによる「コストアップ」が9件だった。
ほかに「売価は上昇するが、出荷増は見込めない」(東海)、「生コンの値上げがどれくらい達成できるか」(関東二区)、「出荷量や売価の改善時期が分からない」(九州)、「売価がそれほど上昇しない」(四国)など。
「悪くなる」理由も32件で「出荷減少」に類する回答が最多だった。主な回答は「特需終了に伴い大幅な出荷減となる」(北海道)、「公共工事の大幅減」(九州)、「生コンを使用する工事の減少」(東海)など。
一方、「良くなる」理由で最も多かったのが「出荷増加」で14件だった。「大型プロジェクト、オリンピック関連」(関東一区)、「新幹線工事による出荷増」(北陸)、「リニア関連工事」(東海)など特需に支えられている。次いで「売価上昇」の4件で、「コスト上昇分の売価転嫁」(関東一区)、「数量が多少減るが、中身が大幅に変わる」(近畿)、「単価の底上げ」(東海)など。
地区別で見ると、「良くなる」の割合が最も高かったのが東海で42・9%。特需による出荷増を見込む。次いで関東一区28・6%、近畿20・0%、北陸16・7%の順。一方、「悪くなる」が最も高かったのが中国で64・3%と過半を大きく超えた。九州40%、東北38・5%、北海道37・5%と続いた。
設備老朽化が進行
18年の経営課題について、優先順位の高い順に最大3つまで答えてもらった(記入式)。それを集計、分類したところ優先順位第一で最も多かったのが「人材の確保」に類する回答で120件中31件と4分の1を占めた。「人材不足が深刻。各媒体を使うものの人材が確保できない」(東海)、「山間過疎地域の老齢化人口の中での従業員の確保」(同)、「若手人員の不足」(北陸)、「人員の補充」(四国)などの声が寄せられた。
次いで「出荷減少」14件、「値上げ」13件、「輸送力の確保」12件、「コスト削減」、「コストアップ」、「設備維持・更新」が各9件で続く。コンクリートミキサ車の運転手の確保に四苦八苦しているほか、昨年暮れ以降、セメントメーカーが相次いで値上げを打ち出すなど原材料価格に先高観が広がっているもようだ。設備投資の先送りで老朽化も進行している。
優先順位第二、第三では「人材の確保」、「設備維持・更新」がそれぞれ最多だった。また、優先順位第一~第三の回答総数247件のうち、上位3つの回答は「人材の確保」、「コストアップ」、「設備維持・更新」だった。
このほか、「コンプライアンス強化」(東海)、「販売激化」(東北)、「非組合員が多くなり生コン事業が不安定になる」(北海道)、「近隣協組の弱体化」(北陸)、「安全第一」(関東一区)、「残コン処理」(九州)などが課題に挙げられた。