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2018年01月18日号

1;生コン情報電子化へ

大手ゼネコンが生コン情報の電子化を進めている。練混ぜ開始やコンクリートミキサ車の工場出発時刻、荷卸しや打設完了といった時間管理に主眼を置いており、生コン工場と施工現場でリアルタイムに情報を共有して、コールドジョイントをはじめコンクリートの初期欠陥や誤配などを防止したり、現場の施工日報の記入作業を省力化することを目指している。
生コン情報の電子化は、昨年3月のコンクリート生産性向上検討協議会で検討課題の一つに浮上した。当初は「コンクリート品質などの情報」と記載されていたが、ゼネコンが最も求めていたのは時間管理だった。
国土交通省が15日に都内で開いたi―Construction推進コンソーシアム技術開発・導入WGの第2回シーズ説明会では、大林組がICTとCIMを活用したコンクリート施工管理システムを紹介した。JR東日本のSuica(スイカ)などで使われているカード状のICタグに練混ぜ開始から打設完了までの時間管理のほか、生コン配合や車番、出荷量などを記入する。生コン工場や建設現場に駅の自動改札機のようなICタグ読取機を設置し、ミキサ車の運転手が工場の出発時や現場到着時などにカードをかざす。国交省はこの説明会でシーズとニーズがマッチングすれば、年度内に試行工事で採用する方針だ。
一方、大成建設は大阪広域生コン協同組合、リバティと「生コンクリート納入管理トータルシステム」を運用している。生コン工場の出荷管理システムと大成建設のCIMシステムをクラウドサーバーで一元管理しており、「現場の電話連絡の頻度が大幅に減った」(生コン工場)という。
一方情報の電子化に対して、生コン工場側の警戒感は根強い。運転手や工場での作業が増える一方で、生コンJIS(A5308)やミキサ車の運行管理で求められる紙媒体の記録を残さなければならず、工場側で導入するメリットがみえないためだ。大手ゼネコンが生コン工場に情報の電子化の協力を求めていく際には、工場でもメリットが創出できる形を提示していく必要がありそうだ。