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2018年01月11日号

1;宇部三菱・住友大阪が追随~セメント値上げ

宇部三菱セメントと住友大阪セメントは12月25日、セメント・固化材の販売価格を4月1日出荷分からトン当たり1000円引き上げると発表した。すでに最大手の太平洋セメントが同日からの1000円値上げを表明しており、大手3社で出そろった。エネルギーコストや物流コストの上昇が共通の理由で、両社は自助努力にも限界があるとして販売価格への転嫁を決めたとしている。中堅メーカーも追随を検討していることから、値上げの動きが業界全体に広がる公算が大きい。
太平洋セメントの福田修二社長が昨年11月、値上げの方針を明らかにしたことで、業界の値上げムードは一気に高まっていた。大手3社の値上げが出そろうのは2013年以来、5年ぶり。当時は中堅・地場メーカーも追随し、地域やメーカーによって得られた成果は異なるが、1000円程度の目標に対し500円前後浸透したという。
宇部三菱、住友大阪は値上げの理由として、エネルギーコストや物流コストの上昇のほか、設備の維持・補修費用の増加を挙げている。建設業界の業況が好調で、セメントの7割を消費する生コン業界も全国的に市況が上昇するなどセメントの値上げが通りやすい環境になったとの判断もある。
宇部三菱の上田淳社長は、「次々に押し寄せるコストアップは自助努力だけでは乗り越えられないことから、値上げの判断に至った」と語る。また、建設資材の多くで価格が上がる中で「セメントは取り残された感は否めない。今回の値上げを機に、我々もモノの考え方を変えないといけない」との認識を示した。
住友大阪の関根福一社長は「セメント業界が長きにわたって真面目に、寡黙に国土強靭化や循環型社会の形成に貢献してきたこと、これからもその任を果たしていくためにも役割に見合った利益が必要であることを訴えて、値上げへの理解を深めたい」と強調した。
メーカー各社は今月中に販売店を通じて生コンなどユーザーに値上げを申し入れ、交渉を開始する。今後、セメント値上げを理由にした生コン値上げの動きが活発化する可能性もある。