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2017年11月09日号

1;PRにミキサ車利用~生コンイメージ向上策

全国各地で生コン業界を一般市民にPRする活動が活発化している。一般市民との距離を縮めるため、認知度の高いコンクリートミキサ車を利用した取り組みが目立つ。業界の次世代を担う人材確保に向けて、全国生コン両連合会は今年度、各地域で行われているイメージ向上策の事例集を発刊する方針だ。
ミキサ車は子供らに人気が高いが、試乗体験をする機会はほとんどない。そこで各生コン組合では建設関連産業が開くイベントなどで直接ミキサ車に触れる機会を設けている。
静岡生コン工組は10月28日、静岡市が主催する「しずおか建設まつり」でミキサ車2台を展示した。1台は運転席への試乗用で、もう1台は子供がレバーを引いて、ドラム内に積載されている水を排水するデモを体験できるようにした。
静岡県内では現在、各生コン協組が地元自治体と災害発生時における支援協定の締結を進めており、そのPRを兼ねている。ドラムから排出した水は、組み立て式の貯水槽で荷受けし、電動ポンプでドラムに戻す仕組み。
ミキサ車の排水体験をした子供には①ミキサ車型のミニカー②ミキサ車型の鉛筆削り③お菓子のいずれかを配布した。あわせて同工組は子供の親に業界のPRパンフレット「生コンという仕事」などを手渡した。
茨城生コン工組は10月29日、茨城県の公共団体や建設関連団体が主催する建設フェスタにブースを出展した。同工組では2014年から同フェスタに参加しており、今回が4回目。ミキサ車のドラムには市販されているカラーボールが入っている。排出作業を体験した子供には、ミキサ車型の鉛筆削りとカラーボールを配布した。例年このデモは盛況で、今年もミキサ車の周りには長蛇の列ができた。
一方、大阪広域生コン協組は07年から児童を対象に絵画コンクールを開いており、最優秀賞となった作品をミキサ車に貼付している。三多摩生コン協組(立川市)も9月から一般市民への認知度向上を目的に、ミキサ車のドラムに保育園児が描いたイラストを貼付している。いずれもミキサ車のドラムを「動く看板」として利用し、子供たちが生コン業界に親しみを感じてもらうねらいだ。
モルタル磁石に飾り
また、茨城工組では、建設フェスタで、モルタルの中に磁石を埋め込んだ飾りやコマにビーズやシールなどの装飾を施すコーナーを設けている。磁石が内包されているため、冷蔵庫などに張り付けることができる。また同工組はコンクリートの供試体や立命館大学の岡本享久研究室が作製したコンクリート製のギターやトランペットを紹介するパネルを毎年展示している。
和歌山生コン工組では12年から組合員工場だけでなく、県内の工業高校や大学、混和剤メーカーなども参加してニアストレングスコンテスト(供試体強度コンテスト)を開催している。
テレビCMで訴求
最終ユーザーである一般市民に生コン組合の認知度向上を呼びかける手法として、滋賀では県下の大津、湖北、湖東の3協組では11年から地元テレビ局でCMを打っている。3協組は協同組合員の生コンを「くみコン」としてPRしている。CMの開始から6年が経過したことや、ミキサ車に「くみコン」ステッカーを貼付したことなどにより、一般市民の認知度も上がっているという。
生コン業界のPR活動は始まったばかり。各地域でこうした活動を継続しながら、業界の課題である次世代の人材確保にどうやってつなげていけるか考える必要がありそうだ。