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2017年08月24日号

1;災害支援で協定締結を~消防庁・全国生コン連合会

消防庁は18日、全国生コンクリート工業組合連合会・同協同組合連合会(全生連)に、傘下の組合が行政と災害発生時に消火用水などを供給する協定を締結するよう要請した。澤田史朗消防・救急課長が全生連に出向き、吉野友康会長に依頼書を手渡した。消防庁は同日付で、各都道府県消防防災主管部長と東京消防庁・各指定都市消防庁に「大規模火災発生時の消防水利確保に関する関係機関との協定等の締結について」を通知。大規模な火災発生時にはコンクリートミキサ車を活用するよう促した。

今回の依頼は昨年12月に新潟県糸魚川市で発生した大規模火災を受けて出されたもの。依頼文では、大規模火災発生時に給水活動の協力が得られるようミキサ車を保有する事業者が加盟する団体との協定締結を要請した。さらに都道府県で締結する場合は管下の市町村が一様に協定を締結し、運用されるよう調整や助言を行い、すでに自然災害発生時の協定を結んでいる場合には、火災時でも適用される内容に見直すことを求めた。このほか、費用負担の明確化や協定に基づく訓練を実施し、運用が円滑に行われるよう求めている。協定書の策定例も示した。

今年2月に全国の消防本部(733本部)を対象に実施したアンケート調査では建設業協会などとの間で給水活動について協定締結していると回答したのが102本部(14%)だった。吉野会長は消防庁からの依頼に対し「かねてより社会貢献は考えてきた。全面的に協力していきたい」と語った。

消防庁では、糸魚川市の事例を受け、大規模火災時における検討会を設置。検討会が5月にまとめた報告書では、消火用水を確保するには、ミキサ車を活用した給水活動が有効であると提言していた。

これを受けて消防庁では長官名で、地域の実情に応じた大規模火災への対応について、実現可能なものから順次推進するよう要請していた。この中で「消防水利の不足を補うため、コンクリートミキサー車等による給水の支援を受け、継続的な消火活動が可能な体制を整えることができたことを踏まえ、地元建設業協会等及び個別の地元建設業者等との間で、給水活動等についての協定をあらかじめ締結しておくこと」と通知した。

糸魚川の大火では糸魚川地区生コンクリート協同組合に所属する36台のミキサ車が延べ460回にわたり消火用水を輸送した。全体の使用水量2万1606m3のうち、ミキサ車は10・6%(2300m3)輸送した。これは消火栓(78%)に次ぐ量で、ミキサ車活用の有効性が示された結果となった。

糸魚川市と糸魚川協組は協定を締結していなかったが、災害時の協力に関する協定書に準じて活動に要した費用は全額を市が負担した。また、5月30日に両者は災害支援協定を締結している。