文字サイズ(変更方法 文字サイズを大きく 文字サイズを小さく
2017年04月13日号

1;回復も力強さ欠く~関東一区の生コン

関東一区で生コンの共同販売事業を行う14協同組合の2016年度の出荷量は、前年比8・7%減の1085万5千m3となり、3年連続で前年実績を下回った。前年割れした8協組のうち、東京地区、三多摩、玉川、千葉中央の4協組で過去最低を更新した。需要の柱であるマンションの不振が続き、着工遅れ、工期の長期化、工法の変更も響いた。17年度は10協組で増加を予想する。東京都心でオリンピック・パラリンピック施設工事が本格化するほか、玉川、湘南ではリニア中央新幹線工事向けの出荷が始まる。

昨年度の出荷量は14協組中6協組でプラスだった。15年度に最低出荷を更新した神奈川、湘南、埼玉中央がそろって増加に転じた。停滞が続いた反動増に加え、民需の荷動きが多少良くなってきている。千葉北部は流山の物流倉庫群がけん引役で、10月から2ケタ増で推移した。埼玉北部は大型工事が終わった反動減が収束して、横ばいを維持した。

一方、東京地区は当初予想330万m3から50万m3以上下振れて、初めて300万m3を割り込んだ。豊洲市場の移転工事が終わった反動減に見舞われるなかで、大手ゼネコンによる受注手控え、工事の遅延、工法の変更などの下押し要因が重なった。ただ、昨秋頃から底打ち感が広がり始め、3月の出荷量は30万2千m3と前年同月に比べ8・3%増え、視界は晴れつつある。

三多摩も初の100万m3割れ。マンション建設が減り、工事も全般に遅れた。千葉中央は14年度の最低出荷を下回り、ピークだった91年度(148万m3)の2割の規模にまで縮小した。玉川や東関東、千葉西部もマンション建設が総じて不振だった。

17年度の出荷量は4年ぶりに増加に転じる見通し。復調が確実視されているのが東京地区で、五輪特需や大型再開発が押し上げる形で300万m3台に戻る。リニア特需を抱える玉川、湘南も増加を見込む。玉川でもこのほど2工区17万m3の引合いが寄せられた。神奈川は自動車道路工事などがけん引する形で2年連続の増加となる。

千葉中央や千葉西部は遅れていた工事が動き始めてプラスを確保する。東関東、横須賀、埼玉北部、千葉北総はおおむね横ばいを見込む。千葉北部は減少予想だが、浄化センター工事の着工も予定されるなど需要環境は引き続き底堅い。

一方、三多摩は過去最低を更新する。埼玉中央は増加予想だが、元組合員の再加入による上積み分を除けば前年を下回る。秩父地区は市役所工事が終わった反動減で5万m3を割り込む見込み。

ここ数年で出荷水準が大きく低下したため、少なくとも大崩れはないというのが共通の見方だ。

ただ、その回復は力強さを欠いているのは否めず、また、地域間の需要偏在も広がる傾向が出ている。プレキャストコンクリートやS造の台頭という変数もあり、生コンの需要が実際にどう動くのか見通しにくい状況となっている。